人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

スキー コラム 2012年2月16日

男子スラローム第9戦 バンスコ(ブルガリア)

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
  • Line

1月24日にシュラドミングで行なわれた第8戦の後、ワールドカップの男子スラロームはしばらくの間レースが開催されていなかった。第4戦(ザグレブ)から、アデルボーデン、ウェンゲン、キッツビュール、そしてシュラドミングと立て続けに5レースが行なわれた1月とは対照的に、2月には男子スラロームがわずか1レースしかない。もちろん、ワールドカップ自体は週末ごとに開催されているのだが、スラローム月間とも呼ぶべき1月が終わると、いったん小休止に入るのが、男子スラロームのスケジュールの特徴なのだ。そして今週末。約3週間のインターバルをはさんで再開されるスラローム戦線。シーズン終盤に向けて、その展開はさらに白熱することだろう。

さて、2月唯一の男子スラロームの会場となるのは、ブルガリアのバンスコ。昨シーズンから新たにスケジュールに加わったニューフェイスだ。首都ソフィアからほぼ真南に約150㌔、約2時間半のドライブで到着する同国最大のリゾートである。付近には温泉も豊富で、古くから保養地としてスキー場として栄えてきたが、近代的なスキーリーゾートとしての開発は比較的最近のようだ。街とスキー場とをつなぐゴンドラリフトが建設されたのが2003年。その後急ピッチで開発が進み、わずか10年足らずでワールドカップを開催するに至った。標高2746mのトドルカ山の北西斜面に伸びるコースは全部で16。ゲレンデトップからの標高差は1000m以上もあり、スケールは想像以上に大きい。とはいえ、やはりアルプスのスキー場とはどことなく雰囲気は異なる。中世から近代にいたるまで長い間オスマン帝国の影響下にあったため、街の佇まいはトルコ風。一方でブルガリア語はキリル文字が使われるため、スラヴの香りも色濃く漂う。街はそれらが混然となった独特の文化と雰囲気を持ち、エキゾチックな情緒が心地良い。

スラロームのスタートは標高1825m地点に設けられる。中斜面と急斜面が交互に続き、緩斜面はごく短い。標高差は215mと大きいが、距離的には特別長いというほどではない。ゴールに向かってほぼ一直線のクセのないコース。その分地形の影響は少なく、ポールセット次第で難易度が変わってくるだろう。昨年の優勝者は、マリオ・マット(オーストリア)。2位がラインフリート・ヘルブスト(オーストリア)、3位にジャン・バティスタ・グランジ(フランス)。表彰台には実力者が並ぶ順当な結果だった。今季の男子スラロームで熾烈なバトルを続けているイヴィッツァ・コスタリッチ(クロアチア)とマルセル・ヒルシャー(オーストリア)はともに無得点。1月期に絶好調だったイヴィッツァ・コスタリッチは1本目で転倒し、実に14レースぶりの途中棄権に終わり、マルセル・ヒルシャーは怪我のために欠場したのだ。したがって、昨シーズンの戦いから今季の結果を予想するのはむずかしい。すべては、3週間のインターバルをどう過ごしてきたかの勝負といえるだろう。

残念なのは、コスタリッチがソチ(ロシア)で行なわれたスーパー・コンバインド第4戦で、膝を負傷してしまったことだ。2位ベアト・フォイツ(スイス)に1秒16の差をつけてこのレースに優勝したコスタリッチだが、スラロームを滑っている最中に右膝の半月板を損傷。翌日バーゼル(スイス)まで飛び、主治医による手術を受けた。レースへの復帰は3月第2週のクラニスカ・ゴーラ(スロヴェニア)からになりそうだという。過去に合計8度も膝にメスを入れているコスタリッチにとっては、この怪我自体はそれほど深刻なものではないのだろう。しかし、残り15レースのうち少なくとも9レースを欠場するということは 、総合2連覇を目指す彼に大きなダメージを与えることは間違いない。現在総合順位で首位に立っているが、彼の留守中にライバルたちに逆転される可能性は高く、復帰後に再逆転できるかどうかはきわめて微妙な状況。昨シーズンに続く総合優勝には、赤信号が灯ったと言わざるを得ないだろう。

また現在、総合得点でコスタリッチに70点差の2位につけるフォイツはバンスコのレースをスキップし、翌週のクラン・モンタナに全力を集中する予定。得意とする高速系種目で現在の調子を維持すれば、初の総合優勝もぐっと近づくだろう。終盤戦に向けて、タイトル争いにおけるフォイツの存在感はさらに大きなものになりそうだ。

さらにもう一人の注目選手は、言うまでもなくマルセル・ヒルシャー。シュラドミングで今季6勝目をあげた後、レースには出場していないが、スーパーGのトレーニングを開始した。これまで、今季は技術系種目に集中すると語っていたが、総合優勝のタイトル獲得に向けて軌道修正することもありそうだ。

シュラドミングで自己最高の5位に入賞した湯浅直樹は、2月12日にパンプローボ(ブルガリア)で行なわれたヨーロッパカップで2位に入り、依然好調を維持している。バンスコは一昨年のヨーロッパカップで2日連続優勝したゲンのいいコース。さらに結局は転倒してしまったものの、2本目前半の中間計時でベストタイムを記録しており、得意意識を持っている。日曜日に行われるスラロームでは、当然優勝を狙ってアタックするはずで、どんな滑りを見せてくれるのか、期待は大きく膨らむ。

また苦しい戦いの続く佐々木明もパンポローボのヨーロッパカップでは8位、14位と上昇の兆しを感じさせる。遅いスタート順という大きなハンディはあるものの、彼本来の爆発を期待したい。

【写真左】全体的に斜度は中程度。クラシックなコースと違い強烈なクセはなく、その分ポールセットに何度が左右されるだろう
【写真右】昨年のスラローム優勝者はマリオ・マット。今季はつねに上位に入賞しているが、優勝はまだない

【写真左】シュラドミングで優勝し今季6勝目をあげたマルセル・ヒルシャー。表彰式でのシャンパンファイトも、ゴーグル着用で圧勝した
【写真右】昨シーズン、湯浅は2本目すばらしい滑りを見せたもののコースアウトし、登り直した後で完走。しかし8%ルールでポイントが付かず最終戦への出場権を撮り逃した

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

  • Line

関連タグ

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
スキーを応援しよう!

スキーの放送・配信ページへ