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スキー コラム 2012年1月23日

男子スラローム第8戦 シュラドミング

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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熱狂のクラシックレース、キッツビュールのハーネンカム大会が終わると、1日おいて今度はシュラドミングのスラロームである。こちらも熱狂度ではキッツビュールに負けていない。火曜夜のナイトレース。週末の3日間続くハーネンカム大会に対し、こちらはわずか数時間で燃え尽きるため、瞬間的な興奮度はむしろ勝るかもしれない。仕事を終え、あるいは早仕舞いして集結した観客たちは、トップスラローマーの妙技に驚嘆しながら冬の夜の祭りを楽しむ。しかし、盛り上がるだけ盛り上がった後は、ほとんど余韻を残すことなく、まるで何事もなかったかのように街を後にする。レース後も夜中まで騒がしいキッツビュールとは対照的に、シュラドミングはあっという間に静寂を取り戻すのが特徴だ。おそらく、今年のシュラドミングも多数の観客が集まるはず。そこでどんなレースが展開されるのか。ザグレブから始まった1月期の怒涛のスラローム5連戦の最後を飾るナイトスラロームだけに、熱い戦いを期待したい。

日本選手はシュラドミングのスラロームを得意としている。91年には岡部哲也が3位タイで表彰台に上ったのを皮切りに、佐々木明が2006年に2位、湯浅直樹が2010年に8位と活躍。硬い急斜面を得意とする日本選手には相性の良いコースといえる。苦しい戦いの続く日本チームだが、今季もここで立ち直りのきっかけを掴みたいところ。とくに湯浅はウェンゲンでの膝の負傷が心配されたが、キッツビュールに強行出場しで20位と大健闘。一時は出場が危ぶまれていただけに大健闘と言えるだろう。さて、キッツビュールのスラロームは、これまでとちょっと様子の異なる展開となった。優勝はクリスチャン・デヴィーレ(イタリア)。今季これまでに行なわれた男子スラローム7レースで、イヴィッツァ・コスタリッチ(クロアチア)とマルセル・ヒルシャー(オーストリア)以外の選手が優勝したのは初めてである。コスタリッチは3位に入ったものの、ヒルシャーは2本目に旗門不通過による失格。ウェンゲンに続き2週連続でノーポイントに終わり、総合でも首位の座をコスタリッチに明け渡した。シーズン序盤から1月前半まで続いていた破竹の勢いに陰りがみえてきたことはたしかだろう。

一方の、コスタリッチは相変わらずの安定感だ。ダウンヒルのトレーニングランで時速約100キロで転倒。あわや大怪我かという激しいクラッシュだったが、幸いにも足首を少し痛めただけの軽症ですんだ。昨日のダウンヒルではさすがに転倒の影響を感じさせ50位に終わったものの、スラロームでは3位。苦しみながらも表彰台を外さない安定感はさすがというほかはないだろう。

クリスチャン・デヴィーレにとっては、これが初めてのワールドカップ優勝である。アデルボーデンでは1本目でトップに立ちながら2本目に失敗。ウェンゲンでも1本目は100分の1秒差の2位だったが、2本目で6位にまで順位を下げている。この日は、1本目0秒73差という位置からの逆転優勝。2度の失望の後、31歳と18日でついに悲願を達成した。しかし彼はそのことをきかれると「I am 31 years young, not old」と見事な切り返し。

「2本目はコースが荒れていて難しい状況だったが、最初のターンからリズムに乗れた。最後まで攻める気持ちで滑ったことのが良かったのだと思う」と初優勝の喜びを語った。イタリア選手がキッツビュールのスラロームで優勝したのは、1995年のアルベルト・トンバ以来実に17年ぶりのことだ。

2位には1本目100分の1秒差でコスタリッチを抑えてトップに立っていたマリオ・マットが入った。彼にとって、このコースは2000年にワールドカップ初優勝を記録した思い出の地(このときには皆川賢太郎が6位に入っている)。12年ぶりのキッツビュール2勝目を僅かの差で逃したが

「2本目の中間付近でタイムを失った。その点がすばらしい滑りを見せたクリスチャン(デヴィーレ)との違いだ。でもこのむずかしいコースで2位になれたことは、自分自身誇りに思う」と語った。

そのヒルシャーとコスタリッチをめぐり厄介な問題が勃発した。ヒルシャーのザグレブでの優勝が、実は片反だった、ビデオによる検証の結果、明らかにポールをまたいでいることがわかったというのだ。これについてクロアチアスキー連盟がFIS(国際スキー連盟)に抗議を提出。当然オーストリアはこれに反発している。FISのルールでは競技終了15分以内に抗議がない場合、公式記録となりますが、不正があったことを明確に証明できる場合は改めて意義を申し立てることができるという規定もあり、問題は流動的。今日の記者会見でもコスタリッチがヒルシャーを非難するという一幕があった。ポールをまたぐ事自体は、単なる技術的なミスであり責められるべきものではないが、またいだと知りながらその後もレースを続けることは、スポーツマンシップにもとる不実な行為とされている。クロアチアは「ポールをまたいだかどうかは選手自身がはっきりと分かるはず」と主張し、一方オーストリアは「ビデオで確認したが、非常に微妙なケースなのでヒルシャーにまたいだ自覚はなかった」と反論している。ことは、ワールドカップの総合タイトルを激しく争うふたりをめぐるものだけに、今後様々な波紋を呼びことだろう。ただ、まだ情報がいろいろと錯綜しており、プレスセンターも混乱気味。もう少し整理できた段階で改めてレポートしたいと。

【写真左】昨シーズンも10位となり、シュラドミングのコースを得意とする湯浅直樹
【写真右】キッツビュールではスラローム3位、コンバインド優勝。総合でもトップに立ったイヴィッツァ・コスタリッチ

【写真左】31歳でワールドカップ初優勝を記録したクリスチャン・デヴィーレ。今季絶好調だ
【写真右】地元オーストリアの期待に応えキッツビュールで2位となったマリオ・マット

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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