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速いだけでは勝てない。きれいに滑るだけでも勝てない。じゃ、モーグルはどういった滑りが評価されるのか!?ジャッジ競技だけにわかりにくい部分も多い。というわけで、今回はジャッジの仕組みについて解説。どんなターンに高得点が出るのか、どんなエア(ジャンプ)が凄いのかといった、基本的な情報をお届けしよう。
モーグルの採点は、ターン15点満点、エア7.5点満点、タイム(スピード)7.5点満点の計30点満点。わかりやすいように100点満点表示にする流れもある(内容や割合はそのまま)。
この中で、タイム点は計測された秒数からの換算式があるので、単純に速ければ高得点になる。
ターン点は、
・フォールライン…スタートからゴールまで垂直に結んだラインを直線的に滑り降りているか
・カービング…雪面コンタクトを保ったカービングターンを行っているか
・アブソープション&エクステンション…スムーズなターンに結びつくコブの吸収動作
・アッパーボディ…フォールラインに向けて上下左右に振られることなく安定しているか
の4要素を踏まえて、各審判5点満点で基礎得点を採点。そして、ミスによる減点方式で得点を計算している。W杯では5人審判で、最高点と最低点はカットされ、3人のジャッジによる合計点がターン点となる。
つまり、直線的にコブに沿って、エッジを利かせ切れ味鋭いターンで、脚のスムーズな伸縮を活かし、上体を安定させて滑るのが基本的な採点基準だ。
わかりやすく言い換えれば、「速く、攻めの姿勢が垣間見られ、安定しており、ミスがない」ターンが高得点になるのだ。ただ、コブ斜面の中で、これがいかに難しいか…、そういった観点から選手の滑りにも注目して欲しい。
エアは、完成度点と難易度点の掛け合わせ。現在見られる最高難度のトリックは、コーク1080とダブルバックフルツイスト(ダブルフル)。コーク1080は、体を水平まで傾けながら3回転するトリック。ダブルフルは「伸身後方1回転2回捻り」。後方へ1回転しながら、2回捻りを入れる。この2つをきっちり飛べるのは、今季絶好調の19歳、ミカエル・キングスバリー(カナダ)ただ1人。それだけの能力を持つからこそ、いま彼がトップにいるのもうなずける。
一方、女子は上村愛子などコーク720を飛ぶ選手もかつては出現したが、現在はバックフリップ(後方1回転)と360度スピンを使用しているのが、トップ選手では多い。そんな中、バックフルツイスト(伸身後方1回転1回捻り)を取り入れている村田愛里咲は、先進的な選手なのだ。
さて、話は変わって去る1月14日、W杯第3戦カナダ・モンガブリエル大会デュアルモーグルが行われた。この大会では、今季初めて'10年バンクーバー五輪金メダリスト、アレキサンダー・ビロドウ(カナダ)が出場したものの、いいところは見せられず、結果は好調・ミカエルが完勝。今季3連勝となった。新王者への階段を登る19歳は、大会を重ねるにつれエアだけではなくターンも安定し盤石の体制を築きつつある。女子はハンナ・カーニー(アメリカ)が今季3連勝。昨季から合わせるとW杯10連勝で、もはや最強女王の呼び声も!
男女ともにひとり横綱状態の今季、この2人に土を付ける選手は現れるのだろうか!?まさに今、新たな伝説が生まれようとしているのかもしれない。
日本勢も新展開を見せた。遠藤尚が、5位入賞と奮闘。星野純子も予選4位と健闘した。また、里谷多英がこの大会からW杯に復帰し、次戦からは上村愛子も戻る。チームジャパンも、上昇ムードだ。
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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