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スキー コラム 2012年1月13日

男子スラローム第6戦(ウェンゲン)

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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昨日からダウンヒルのトレーニングランが始まり、いつもは静かなウェンゲンの村も次第に大会ムードが高まってきた。今週末はいよいよ第82回インターナショナル・ラウバーホルン大会。金曜日のスーパー・コンバインド(短縮ダウンヒル+スラローム1本)を皮切りに、土曜日ダウンヒル、日曜日スラロームというスケジュールである。

マルセル・ヒルシャー(オーストリア)の勢いが止まらない。年が明けてから出場した3レース、ザグレブSL、アデルボーデンGS&SLのすべてで優勝。アデルボーデンで同一シーズンに2種目優勝したのは、彼が初めてである(マルク・ベルトーが2007年のSLと2008年のGSで優勝)。アデルボーデンのSLで今季5勝目を上げたとき、ヒルシャーと激しく争うイヴィッツァ・コスタリッチ(クロアチア)は、記者会見の席で次のように聞かれた。

「今のマルセルを見ていると、まるで昨シーズンの自分のことのようだと思わないか?」

するとコスタリッチは、少し戸惑ったような表情を見せながらもこう答えた。

「たしかにその通りだ。今の彼は自分が強いんだという自信に満ち溢れている。勝ち続けるには、こういうしっかりした自信が必要で、マルセルはまさにその自信を持っている。当分この勢いは止まらないだろうね」

コスタリッチ自身、昨シーズンの1月期は絶好調。たった3週間の間に優勝6回2位2回という凄まじい強さを発揮して総合優勝への足がかりを築いた。得意のスラロームは手がつけられない強さ、専門外のスーパーGでも優勝するなど、ほとんど神がかり的な強さだったのだ。その彼が、現在のヒルシャーに昨シーズンの自分を重ねあわせてみている。つまり、ヒルシャーの絶好調ぶりはもはや“神がかり”の域に達した、といってもよいだろう。現在ワールドカップ総合では、ヒルシャー725点に対し、コスタリッチは230点差の495点。まだまだ予断は許さないが、ヒルシャーが今季の総合優勝の最有力候補であることは間違いない。ヒルシャー自身は、総合のタイトルについて語るのはまだ早過ぎると、一貫して語っているが、その一方で、スラロームとジャイアント・スラロームの技術系2種目だけで総合優勝を達成するのは可能だと思うか?という質問に対してはっきりと「イエス」と答えている。心に秘めた自信と思いには並々ならないものがあるようだ。

さて、そんな状況の中で迎えるウェンゲンのスラローム第6戦、ラウバーホルン大会の最終日を飾るレースは、どんな展開となるのだろうか。

ウェンゲンのスラロームコースは、標高差190m。その数字自体は現在のワールドカップのなかで最小だが、しかし実際には凄まじい急斜面と複雑怪奇な斜面変化を持つ恐怖のコースである。世界でもっともむずかしいスラロームは?という質問に対しては、おそらくほとんどのワールドカップ・レーサーが「ウェンゲン」と即答するだろう。

そしてこの難コースを得意とするのは、イヴィッツァ・コスタリッチだ。通算3勝はベンヤミン・ライヒならぶ歴代2位の記録(1位はインゲマル・ステンマルクの4勝)だが、表彰台に上った回数ではライヒの4回を上回る7回。全部で10回スタートしたこの難コースで4位以下に下がったのはわずかに3回という安定感は、彼のスラロームがいかに完成度が高いかという証明だろう。昨シーズンも、2位ヒルシャーに0秒93の大差をつける圧勝だった。今季の勢いを考えると、ヒルシャーが優位と見るのが自然だろうが、この二人にクリスチャン・デヴィーレを加えた3人が現在のスラローム3強。今回もこのトップ3中心の展開が予想される。

この他に注目したいのは、肩の負傷で出遅れていたジャン・バティスタ・グランジ。アデルボーデンでは2本目の快走で5位に浮上。前日のジャイアント・スラロームでも1本目36番スタートから中間計時でベストタイムを記録(ゴール直前でコースアウト)しており、身体のキレは確実に戻りつつある。そろそろ表彰台争いに加わってきそうな気配だ。

日本チームは、依然として本調子ではない。アデルボーデンでは湯浅直樹が1本目前半で途中棄権。佐々木は1本目完走したものの、ゴール寸前のミスが響き35位で2本目に進むことは出来なかった。湯浅は腰に痛みを抱えながらの苦しい戦い。一方の佐々木も体調は万全ではなく、何よりも遅いスタート順が大きなハンディとなっている。ただし、アデルボーデンでは第2計時まではクオリファイ確実のタイムで来ており、そこまでの滑りには佐々木本来の姿を垣間見ることはできた。わずかながらではあるものの、上昇の気配は感じられる。2003年65番スタートから2位入賞という衝撃的なデビューを飾ったこのウェンゲンの難コースで、復活への手がかりをつかんでほしいところだ。

【写真左】世界最長のダウンヒルと世界でもっともむずかしいスラローム。ラウバーホルン大会は、クラシックレースと呼ぶにふさわしい伝統と格式を持つ大会。今季で82回目を迎える。
【写真右】昨シーズンのスラロームは雪がゆるみ、例年とまた違った難しさがあったがそれでもコスタリッチの強さは盤石だった

【写真左】現在絶好調のマルセル・ヒルシャー。まるで昨シーズンコスタリッチを思わせる神がかり的な強さをみせている
【写真右】アルタ・バディアの11位の後は、一進一退が続く湯浅直樹。腰に痛みを抱えるせいか、本来の滑りを取り戻せていない

【写真左】アデルボーデンではわずかに復調の兆しが見えた佐々木明。ゴール前のミスで2本目進出を逃したのは残念だった。
【写真右】複雑な地形を持つウェンゲンのスラローム・コース。ゴール前にもトリッキーな斜面変化があり、最後まで気を抜くことができない

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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