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スキー コラム 2011年3月4日

【アルペンスキーW杯転戦記】 クラニスカ・ゴーラ

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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3月に入り、今季のアルペンスキー・ワールドカップもいよいよ終盤を迎えた。残るレースは、クラニスカ・ゴーラ(スロヴェニア)、クヴィットフェル(ノルウェー)、そして最終戦レンツェルハイデ(スイス)の3大会のみで、スラロームに関しては残り2レースとなった。

しかし、最終戦には一定の出場資格が設けられており、誰もが出られるわけではない。出場できるのは当該種目でワールドカップポイントのランキング(WCSLではなく)で25位以内の選手。これに別枠として世界選手権、ジュニア世界選手権のチャンピオンが加わる。さらに、ワールドカップの総合ポイントで500点以上獲得している選手は、かりに25位以内に入っていない種目でも出場することができる。これは総合チャンピオン争いをよりスリリングな展開にするための措置だろう。いずれにしてもボーダーライン上の選手にとっては、最終戦に出られるのかどうか、自分のランキングが非常に気になる時期である。

【写真】 アデルボーデンでは43番のゼッケンをつけて滑っていた
マリオ・マットが、シーズン後半急上昇。バンスコでは優勝という
あざやかな復活劇をみせた

日本チームでは湯浅直樹がまさにそのギリギリのところにいる。現在のランキングは30位。世界選手権6位と大健闘の湯浅はWCSLでは23位なのだが、世界選手権での成績はワールドカップ・ポイントには反映されないのだ。種目別25位にいるオンドレイ・バンク(チェコ)とミトヤ・ヴァレンチッチ(スロヴェニア)が63点を持っているのに対し、湯浅の獲得ワールドカップ・ポイントは49点。他の選手との相対的な争いとなるので、最終的には微妙な計算となるのだが、クラニスカ・ゴーラでは、少なくとも一桁入賞をしなければ25位以内への浮上は難しそうだ。

そう考えると、前週バンスコでの2本目の失敗が大きく響いている。バンスコでの湯浅は1本目は21位と振るわなかったが、2本目前半部の滑りはほぼ完璧。しかしベストタイムで中間計時を通過した後、痛恨のコースアウト。登り返してゴールしたのだが24位に順位を落としてしまった。しかも8%ルール(優勝タイムとのタイム差が8%を超える選手には、ゴールしてもワールドカップ・ポイントは与えられない)によって無得点におわってしまったのだ。前半部の滑りは今季最高ともいえる速さだっただけに、ミスなくゴールしていればどうだったのか?という思いがファンとしては捨てきれないところだろう。しかし、現在の彼の滑りが非常に高いレベルにあるのは疑う余地のない事実。クラニスカ・ゴーラでの大爆発を期待したい。

いっぽうの佐々木明は、さらに苦しい立場に追い込まれている。現時点でのランキングは種目別45位、WCSL41位。最終戦出場のためにはクラニスカ・ゴーラで3位に入っても届くかどうかという厳しい状況だ。加えてバンスコでは腰を痛めるというアクシデント。朝のウォームアップ1本目で腰を痛めてしまったのだ。このときは痛み止めを飲んで強行出場したが、見ていても明らかに身体に力が入っていないのがわかるような滑り。本来の攻撃的スラロームとはほど遠い状態で、むしろゴールしたことだけでも奇跡的というべきだろう。痛みはかなり強いようで、果たして1週間でどこまで快復しているかが気にかかる。今季はアクシデント続きで、思うような結果が残せていない佐々木。結果はともかく、クラニスカ・ゴーラでは悔いの残らない滑りを見せてほしい。

【写真左】 2本目の前半、素晴らしい滑りを見せたバンスコでの湯浅直樹。最終戦出場のためにこの調子の良さを大爆発につなげたいところだ
【写真右】 今なお続く右腕の痺れに加え、腰を痛めてしまった佐々木明。トラブル続きの苦しい戦いが続いている

さて、そのクラニスカ・ゴーラだが、ワールドカップではおなじみの会場だ。旧ユーゴスラヴィア時代から、数々の名勝負が繰り広げられてきた準クラシックレース。今回は第50回の記念すべき大会でもある。オーストリア、イタリアとの国境まであと数キロというところに位置するクラニスカ・ゴーラは、規模はそれほど大きくないもののスロヴェニアにおけるアルペンスキーの中心地だ。ワールドカップの舞台となる“ポドコレン”は斜面変化の多いテクニカルなコース。いくつかの中・緩斜面の連続を経て、コース半ば過ぎからゴールまでは長い急斜面が続く。日本チームは、伝統的にここを得意としており、J SPORTSの解説陣のなかでも岡部哲也が90年に5位、木村公宣は98年に4位に入賞している。また湯浅直樹は2005年に初のワールドカップ入賞をここで記録。このときは2本目のベストタイムをたたき出す鮮烈なデビューであった。

今季のクラニスカ・ゴーラで最大の焦点となるのは、イヴィッツァ・コスタリッチ(クロアチア)とジャン・バティスタ・グランジェ(フランス)の種目別タイトル争いだろう。シーズン半ばまで圧倒的な強さを発揮していたコスタリッチと、このところ俄然調子をあげてきたグランジェ。そのポイント差は現在36点差。最大171点もあった両者の差はみるみるうちに詰まってきたのだ。

コスタリッチはキッツビューエルをピークに調子が下降気味で、バンスコでは1本目で途中棄権。コースアウト後、さかんにスキー板のエッジを気にしていたので何らかの機材トラブルだったのかもしれないが、現在の彼が1月の絶好調時の彼ではないことはたしかだろう。いっぽうのグランジェはウェンゲン以降のスラロームでは表彰台を降りたことがない。世界選手権でも優勝し現在絶好調。場合によっては最終戦を前に、コスタリッチから種目別リーダーの座を奪うかもしれない。ただしコスタリッチとしても、ここはふんばりどころ。総合優勝のタイトルはほぼ決まりだろうが、スラローマーとしてのプライドの高い彼にとっては、スラロームの種目別優勝もぜひとも手にしたいタイトルのはず。少年時代、しばしばトレーニングに通った“ポドコレン”のスラロームコースで4レースぶりの表彰台中央を狙うことだろう。

【写真左】 シーズン半ばまでの勢いが影をひそめてきたイヴィッツァ・コスタリッチ。バンスコのスラロームでは1本目で途中棄権に終わっている
【写真右】 このところ絶好調のジャン・バティスタ・グランジェ。2年ぶりのスラローム種目別優勝も射程距離にとらえてきた

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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