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スキー コラム 2011年1月24日

【アルペンスキーW杯転戦記】 シュラドミング

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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前回のコラムで、うかつにもハーネンカム大会の週末は雨模様が予想されると書いてしまったが、実際にはキッツビューエルは今週半ば以降、一気に冷え込んだ。今季前半のような猛烈な寒波ではないが、この時期にふさわしい適度な冷え込み。標高1665mのダウンヒルスタート地点でマイナス10度前後まで気温が下がり、水曜日以降は毎日降雪もあったので、あたりの様相もすっかり冬景色に一変。キッツビューエルはハーネンカム大会の開幕直前、辛うじてその華やかさにふさわしい雪の装いをまとうことになったのだ。

予想がはずれたことがもうひとつ。「スーパーGとダウンヒルでもかなりの上位入賞が予想される」と書いたイヴィッツァ・コスタリッチが、上位入賞どころかスーパーGで優勝してしまったのだ。彼にとっては、高速系種目では初めての優勝。これで1月に入ってから早くも5勝目で、目下のところ手のつけられない強さを発揮している。ワールドカップ総合のタイトル争いにおいてもその差をさらに広げ、また一歩王座に近づいたと言えるだろう。

このところの冷え込みで、コース状況も良くなって来た。大量に水分を含んだ軟らかい雪も、気温が下がればアイスバーンとなる。昼間も0度以上になることはないので、かなり深い層までしっかりと凍りついているようだ。ザグレブからウェンゲンまで続いていた軟らかくすぐ荒れてしまうようなコースではなく、今後しばらくの間は本来の硬いアイスバーンでのレースが期待できるだろう。

【写真左】 1月20日に行なわれたFISレースで4位に入賞した佐々木明。久々の表彰式では相変わらずの人気の高さだった
【写真右】 昨シーズンの優勝者は地元オーストリアのラインフリート・ヘルブスト。大観衆に後押しされた快走だった

そして、日本チームにとっても、この冷え込みは歓迎すべきこと。佐々木明も湯浅直樹もアイスバーンを得意としているからだ。1月20日にウェステンドルフで行なわれたナイトスラロームは、年が明けてからは初めてのアイスバーンでのレースとなったが、佐々木は小さなミスはあったものの本来の滑りを取り戻して4位入賞(※左下に掲載の動画【Akira SASAKI_Westendorf】参照)。湯浅も2本目3位の好タイムをマークした(トータルでは14位 / ※右下に掲載の動画【Naoki YUASA_Westendorf】参照)。ラインフリート・ヘルブスト(オーストリア)、ジュリアーノ・ラッツォーリ(イタリア)、ジャン・バティスタ・グランジェ(フランス)、フェリックス・ノイロイター(ドイツ)ら、多くのチャンピオンたちも出場したレースでのこの成績は、評価できるだろう。この3週間ほど、ふたりとも重く軟らかい雪に手こずり、フラストレーションをためていただけに、コースコンディションの好転をきっかけに、不調から抜け出したいところだ。

さて、キッツビューエルのハーネンカム大会のわずか2日後、舞台はシュラドミングに移る。ハーネンカムがもっとも多くの観客を集めるダウンヒルなら、シュラドミングはワールドカップもっとも熱狂度の高いスラロームである。観客動員数は年々増え続け今や5万人超。コースサイドの興奮は想像を絶するほどだ。火曜日の夕方、山奥の小さな町に5万人ものファンが集結。そのあまりにすさまじい熱気を目の当たりにすると、アルペン王国オーストリアの底力を見せつけられる思いがする。

【写真左】 夜空を赤々と染める発煙筒の炎がナイトレースを盛り上げる
【写真右】 ゴールエリアを埋め尽くす大観衆。年々その数は増え続け、最近では5万人を超える

シュラドミングのスラロームコースは、アデルボーデン、ウェンゲン、キッツビューエルと続いたクラシックなコースとは、だいぶ趣きを異にする。スタートしてしばらくは中・緩斜面が続き、やがて左に緩やかにカーブする。ここから長い急斜面が始まりゴールまでほぼ一直線だ。終盤にわずかにうねりがあるものの、複雑にねじれたクラシックコースとは対照的に、地形の変化は少ない。では、ここのスラロームは単調なのかというと、もちろんそんなことはない。もっとも観客の湧くスラロームは、選手たちももっとも高いモチベーションで臨むことになり、必然的にレースは厳しいものとなるのだ。勝負のポイントは、前半の中・緩斜面でいかに早くトップスピードに乗るか、そしてそれに続く長い急斜面をいかにミスなくこなすかだろう。現在の気候が火曜日まで続けば、この急斜面はおそろしく硬い恐怖のアイスバーンとなるはず。正確なエッジング、正確なラインが絶対に不可欠だが、その一方で勝負どころではリスクをおかす勇気も持たなければならない。一瞬のミスが致命的なタイムロスにつながりかねないだけに、選手の実力がはっきりと出るコースだ。

【写真左】 2013年には世界選手権がここで行なわれる。1982年以来2度目の開催だ
【写真右】 1本目21位から大きく順位を上げた湯浅直樹の2本目の滑り。今季もその再現を期待したい

ファンの方ならすでにご存知の通り、この難コースを日本選手は、伝統的に得意としている。古くは岡部哲也が3位に入賞しているし(1990年)、2006年には佐々木が2位、皆川賢太郎が6位と6位以内にふたりが入賞する快挙を達成した。また昨シーズンも、湯浅8位、佐々木9位とまたしてもW入賞。とくに2本目で湯浅が見せたすさまじい追い上げは、大観衆に鮮烈な印象を与えた。調子が上向き始め、雪も締まって来た。しかも1本目開始が午後5時45分というナイトレースであることも、視力に不安のある佐々木にはプラスに働くはずだ。今季も日本チームがレースの主役の一角をになう条件が整ったと言えるだろう。時差の関係で、残念ながらライブ中継は日本では深夜スタートになるが、これは絶対に見逃すことはできないレース。録画と言わず、ぜひ生で応援を!

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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