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スキー コラム 2010年2月22日

【アルペンスキーW杯転戦記特別編】 バンクーバー五輪男子大回転

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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バンクーバー五輪は、早くも後半戦に入った。現時点で日本が獲得したメダルは銀が1個(長島圭一郎:スピードスケート男子500m)と銅がふたつ(高橋大輔:男子フィギュアスケート、加藤条治:スピードスケート男子500m)の計3個。金メダルは未だ手が届いておらず、また獲得した3個のメダルはいずれもスケート競技でのものだ。スキー競技では、上村愛子(女子モーグル)の4位が最高と、いささか寂しい結果に終わっている。大会も残すところ、あと1週間あまりとなったが、アルペンファンにとっては、佐々木明、皆川賢太郎両選手の活躍を期待したいところだ。

写真キャプション
【写真1】テッド・リガティ好調アメリカチームの勢いに乗れるか。
【写真2】ディディエ・クーシュが優勝すれば五輪のアルペン史上最年長金メダリストとなる。

さて、2月23日(現地時間)に予定されている男子大回転だが、今回は日本選手は出場しないようだ。16日付けで発表されたエントリーリストには、佐々木、皆川両選手の名前もあった。しかし、実際にはかなり早い段階でスラローム1本に絞ることが決まっており、残念ながら大回転は不参加ということである。

男子のアルペン競技はすべて、ウィスラー・マウンテンのデイブ・マーレイ・コースを使って行なわれる。林のなかに切り開かれた美しいコースで、起伏に富んだ地形が特徴。急斜面と緩斜面が複雑に組み合わされ、しかも右に左に曲がりくねっているかなりテクニカルなコースといえそうだ。デイブ・マーレイとは、1970年代後半から80年代前半にかけてワールドカップを席巻したカナダのダウンヒルチーム『クレイジー・カナックス』の主要メンバー。オールドファンにとっては、懐かしい名前だろう。当時はケン・リードやスティーブ・ポドボルスキーら、スター選手の陰に隠れ、あまり目立った存在ではなかったが、ワールドカップのダウンヒルで3度表彰台に立っている実力者。命知らずで向こう見ずなそのスキースタイルとは対照的に、温厚で親しみやすい性格で人々に愛された選手である。現役引退後はウィスラーにスキースクールを設立。しかし、1990年、皮膚がんに冒され37歳の若さでこの世を去った。そのときまだ2歳だったひとり娘ジュリアは、スキークロスの選手となり、現在はカナダナショナルチームに在籍。バンクーバー五輪の代表にも選ばれている。

写真キャプション
【写真3】難しい条件になると俄然力を発揮するマッシミリアーノ・ブラルドーネ。
【写真4】ベンジャミン・ライヒはベテランらしい試合運びが武器だ。

男子大回転コースのスタートは標高1210m地点に設置され、ここから825m地点のゴールをめざして駆け下りる。385mという標高差は通常のワールドカップと比べるとかなり少ない数字だ。たとえば、アルタ・バディアのGSは448m、アデルボーデンは430mというように、おもだったGSコースはいずれも400m以上の標高差がある。ここの385mという標高差は、ワールドカップで言えば女子のコースとほぼ同じスケールなのだ。ポールセットの傾向にもよるが、所要タイムも平均的なワールドカップよりも短いはず。おそらく1分5~10秒前後で争われることだろう。したがって、選手にとっては、わずかなミスが命取りで、ダウンヒルやスーパーGでもそうだったように、急斜面の出口が技術的なポイントといえる。とくにスタート直後の急斜面は、出口地点でいきなり直角に左に曲がりながら緩斜面につながっているため、ライン取りが難しい。また、廊下状の斜面から大斜面へと入ってくる“コーチズ・コーナー”は、左側が下がった片斜面の右カーブなので、左右のターンで異なるリズムをいかにスムーズに調和させるかで、タイムが大きく変わってくる。

五輪開幕直後は悪天候+高い気温のために、雪質はかなり軟らかかったのだが、その後、少し冷え込んだために、少なくとも表面はかなり硬く凍っている。したがって1本目は、アイスバーンの勝負となるだろう。しかし、コースに陽が当たり始めると、気温が急激に上がるという毎日が続いており、2本目はあるいは荒れたコースとなるかもしれない。

レースは、テッド・リガティ(アメリカ)、マッシミリアーノ・ブラルドーネ(イタリア)、ベンジャミン・ライヒ、マルセル・ヒルシャー(オーストリア)らを中心に展開すると思われる。このオリンピックでは、アメリカチームが予想以上の大健闘しており、その勢いにうまく乗れば、リガティが抜け出しそう。ちなみにダウンヒルで銅、スーパーGで銀メダルを獲得したボーディ・ミラーの名前はGSのエントリーリストにはのっていない。

また、高速系種目では、やや不本意な成績に終わったディディエ・クーシュも侮れない存在。彼が優勝すれば、トリノ五輪のスーパーGで優勝したチェティル・アンドレ・オーモット(ノルウェー)の記録を抜いて史上最年長のオリンピック・チャンピオンが誕生する。おそらく最後になるであろうオリンピックの舞台で、クーシュがどんな滑りを見せるのか、注目したいところだ。

心配なのは、天候がやや下り坂に向かっていること。予報によると、23日は曇りときどき晴れだが、24日(女子大回転が開催される日)は雪が降る可能性が高い。できれば、好天、アイスバーンのレースを期待したいが、これも天気次第。いずれにしても、オリンピックの名にふさわしい高レベルの戦いを期待しよう。

写真キャプション
【写真5】今、もっとも波に乗る新星、マルセル・ヒルシャー。
【写真6】五輪スーパーGの表彰式。ウィスラーの街も五輪ムード一色に包まれている。

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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