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スキー コラム 2010年1月18日

【アルペンスキーW杯転戦記】男子スラローム第5戦 ウェンゲン

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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今週末は、いよいよラウバーホルン大会が行なわれる。舞台はもちろんスイスのウェンゲン。今年で80回目を迎える歴史と伝統に彩られたクラシックレースである。金曜日がスーパーコンバインド(通常より短いダウンヒル+スラローム1本の合計タイム)、土曜日がダウンヒル、そして日曜日にスラロームというスケジュールが組まれている。

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【写真1】金曜日に行なわれたスーパーコンバインド第3戦の表彰式。優勝はボーディ・ミラー(アメリカ)。2位にスイスのホープ、カルロ・ヤンカが入り、3位にも同じスイスのシルヴァン・ツルブリッゲンが続いた。
【写真2】ダウンヒルのスタート地点は標高2315m。ほぼ正面にユングフラウがそびえ立つ。

ウェンゲンは登山電車でしか上がることのできない美しい村だ。駅に降り立つと、正面にユングフラウ、アイガーなど名立たるアルプスの名峰がそびえ立つ。その懐には荒々しい氷河が抱かれ、温暖化によって年々小さくなっているとはいえ、その迫力には圧倒される。麓とは隔絶された特別な空気が流れ、どちらを向いても魅力的なコースが延びるスキーの別天地に、年に1度のワールドカップがやってくる。ふだんは静かでのんびりとしたウェンゲンも、この週末ばかりは熱狂と興奮と喧騒に包まれるのだ。

ウェンゲンのダウンヒルコースは、標高差1028m、全長4480mというワールドカップ最大のスケールを誇る。これまでの最高タイムは2分24秒23。これは1997年にクリスチャン・ゲディーナ(イタリア)が記録したもので、もう10年以上破られていないことになる。しかし、近年のダウンヒルは、安全性を重視するようになり、いたずらにスピードを求めることをしない傾向にある。コースのセッティングは毎年ほぼ変わらないが、それでも以前と比べると確実にターンは深くなっているはず。スキーの性能向上によって、ターンのスピードが上がっている分、深回りターンにしないとコントロールしきれないからだ。昨年の優勝者、ディディエ・デファーゴ(スイス)のタイムは、2分31秒98。一般的なワールドカップ・ダウンヒルの優勝タイムが1分50秒前後だから、そのコースの長大さがわかるだろう。

対照的にスラロームは、コースが短い。以前に比べると多少延びたが、それでも標高差は198mしかない。だが、そのかわりに技術的には非常にむずかしく、ワールドカップでもっともテクニカルなスラロームとして知られている。とくに中盤にある急斜面は、トップレーサーたちをも恐れさせるすさまじい傾斜。下手をすると、コーチやサービスマンでさえ滑落するほどで、われわれカメラマンにとって、この急斜面を降りることが年に1度の肝試しのようなものである。

今週のウェンゲンは、少し暖かい。スーパーコンバインドが行なわれた金曜日には、久々に気温がプラスにまで上がった。そのため、午後に行なわれたスラロームでは、ややコースが荒れたようだ。予報では、今夜からふたたび冷え込むということだが、できればフェアなレースが行なわれるよう、コースが荒れにくいアイスバーンとなることを望みたい。

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【写真3】ダウンヒルコースの上部は、雄大なパノラマに囲まれ開放的な雰囲気。中盤を過ぎると、コースは林の中に入り、がらっとイメージがかわる
【写真4】ウェンゲンの村からダウンヒルコースを遠望する。この美しい景色を見ることが毎年の楽しみだというレーサーは少なくない

さて、日本チームにとっては、バンクーバー五輪への選考がいよいよ大詰めとなる。このウェンゲンの結果によって、男子の枠が現状のまま2人なのか、それとも1枠追加されて3人となるのかが決まる。男子Aチームの佐々木明、皆川賢太郎、湯浅直樹の3人は、全員今季のワールドカップで30位以内に入っており、全日本スキー連盟(SAJ)が設定した基準はクリアしている。しかし、現状では国際スキー連盟(FIS)から日本に割り当てられた枠が2人分しかない。つまり3人のうち、誰かが代表から外れてしまうのだ。これを打開するには誰かがFISポイントリストで30位以内に入らなくてはならない。そうすれば、FISからもうひとり追加の枠を獲得でき、3人全員がバンクーバー五輪に出場することが可能となる。

現時点で、この条件をクリアする可能性がもっとも高いのが佐々木だ。現在種目別ランキング23位、ワールドカップスターティングリスト(WCSL)で33位にいる彼が、もしもウェンゲンのスラロームで一桁入賞を果たせば、FISポイントランキングのトップ30入りがほぼ確実(つまり、日本の代表枠が2から3に増える)。10番代前半から半ばまでの順位に入ると、同じようなランキングにいる他の選手の成績との兼ね合いで、微妙な展開となる。転倒、途中棄権、あるいは20位台の下位入賞ならば、追加枠獲得が絶望的だ。この辺の計算は、かなり複雑。スペースの関係で詳細は省くが、ごく簡単にいえば、バンクーバー五輪に日本の男子選手が何人出場できるかが、佐々木の滑りに掛かっている。今週のレースでは、通常のワールドカップとはまた違ったプレッシャーがかかることだろう。そんなかつてない重圧のなか、はたして佐々木がどのような滑りを見せるのか。彼自身のためはもちろん、日本のアルペン界の未来のためにも、彼のスラロームに注目である。

写真キャプション
【写真5】昨シーズンのスラロームの覇者、マンフレッド・プランガー。今季は、アルタ・バディア、アデルボーデンと2戦連続で失敗に終っている。
【写真6】日本チームのなかでもっとも調子が良い佐々木明。彼の滑り次第でバンクーバー五輪への日本の出場枠が決まる

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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