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12月19日、ヨーロッパカップ男子スラローム第4戦が、イタリアのポッツァ・ディ・ファッサで行なわれた。1本目開始が午後4時半というナイトレース。照明が暗く、何となくローカル大会っぽい雰囲気もあるが、コースは中間に長い急斜面のあるかなりタフなコースである。
スタートから約10旗門は緩斜面。その後シュラドミングのスラロームコースを思わせるような急傾斜の一枚バーンが続く。連日の冷え込みで雪面はコンクリート並の硬さ。2日前のオーバーエッゲンのスラローム同様、ラインフリート・ヘルブスト(オーストリア)、マティアス・ハルギン(スウェーデン)、フェリックス・ノイロイター(ドイツ)ら、ワールドカップのトップシード選手も集まり、レベルの高いヨーロッパカップとなった。
日本選手は佐々木明が16位。さらに大越龍之介がよく粘って31位につけたが、皆川賢太郎、湯浅直樹、石井智也は1本目の急斜面で失敗し、いずれも途中棄権に終わった。
結果から見れば、相変わらずの低迷ぶりではあるが、内容的には少し光が見えてきたといえるだろう。なかでも佐々木の2本目は、全選手中ベスト・タイム。1本目で出遅れたため、2本目も遅いスタート順だったが、そのハンディキャップを吹き飛ばす見事な滑りだった。この日の佐々木は、1本目のスタート直後、古傷の右手親指付け根を痛め、その後はまったくストックをつかずに急斜面を降りてくるという苦しい展開。そのため、ベスト・タイムのヘルブストから4秒40も遅れる平凡なタイムで、ゴール後は激しい痛みでしばらくは口もきけないほどだった。昨シーズンのヴァル・ディゼール世界選手権で痛めた靭帯をふたたび伸ばしてしまったようで、患部は大きく腫れ上がっていた。
果たして2本目を滑るかどうか微妙な状況だったが、インターバルの間に応急処置を受け、そのまま2本目のスタートへ。そして痛みをこらえながらの見事な滑りで2本目ベスト・タイムをたたき出したのだ。1本目の遅れが大きすぎ、合計タイムでは16位にとどまったものの、久々に見る佐々木らしい爆発であった。
また、1本目で早々に消えてしまった皆川と湯浅も、急斜面の滑りはかなり調子が戻ってきたように見える。ともに、斜面の変わり目でコースアウトしてしまったが、難しい急斜面をアタックする姿勢が見えたのは、確かな収穫だろう。明日19日は、マドンナ・ディ・カンピリオで再びナイトレース。さらに21日にはアルタ・バディアのワールドカップスラローム第3戦が控えている。崖っぷちに追い込まれた日本チームが、この怒涛のスラローム4連戦をどんな形で締めくくるのか、最後まで注目したい。
田草川 嘉雄
白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
≫[email protected] ≫ReplaySkiRacing
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