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スキー コラム 2009年12月18日

【アルペンスキーW杯転戦記】JAPAN

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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【写真1】ただひとり生き残った佐々木明も24位。1本目のミスが大きく響いた
【写真2】1本目18位で2本目途中棄権。ただし滑りには好感触を得ている様子の皆川賢太郎。

日本チームにとって、12月第3週はシーズン前半の大きな正念場と言えるだろう。16日のヨーロッパカップを皮切りに18、19日に同じくヨーロッパカップが行なわれ、さらに21日にワールドカップがアルタ・バディアで開催される。怒涛のスラローム4連戦。それは、オリンピック代表の座をかけたチーム内での熾烈な争いでもある。

これらのレースはいずれもイタリア、ドロミテ山塊のリゾートが舞台となる。16日はオーバーエッゲン。1日あいて、18日はポッツァ・ディ・ファッサ、19日はマドンナ・ディ・カンピリオと2連戦がある。この2レースは、いずれもナイトゲームだ。そして年内最後のワールドカップスラロームであるアルタ・バディアへと続く。このような、かつてない過密スケジュールが組まれたのは、他でもない、日本選手は、まだ誰もバンクーバー五輪へのチケットを手にしていないからである。

全日本スキー連盟(SAJ)が定めた五輪代表への基準は
1 09/10ワールドカップ・スターティングリスト(WCSL)30位以内の選手
2 09/10シーズンにおいて(全種目共通)
ワールドカップ30位以内1回
ヨーロッパカップ6位以内の成績を収めた選手
上記成績を収めた選手を対象に、部長、コーチ選考会議で決定する。

というものである。現時点では、男女とも誰もこの数字をクリアしていない。まったく予想外の低迷である。想像したくないことだが、もし仮にこのまま低迷が続き、SAJが選考基準を厳しく運用したとすれば、アルペンの代表は0ということになってしまう。まさに非常事態。崖っぷちといってもよいだろう。

一方、国際スキー連盟(FIS)のレギュレーションに当てはめると、日本に与えられた出場枠は男女合計で3人分しかない。女子1+男子2、あるいは女子2+男子1の組み合わせがありえるが、常識的に考えれば前者だろう。つまり男子に関して言えば、Aチームの3人(皆川賢太郎、佐々木明、湯浅直樹)のうちふたりしか五輪に出られない。仮にの全員がSAJ基準をクリアしたとしても、FISの規定の縛りがかかるため、誰かひとりは外れてしまうのだ。

ただし、もし3人のうち誰かがFISポイントリストで30位以内に入ったら、その人数分の追加枠が得られる。3人全員参加の可能性も、わずかながら残されてはいる。とはいうものの、このハードルは高い。FISポインリストで30位以内に入るためには、自分の持ちポイントを6点未満にしなければならず、そのためにはワールドカップでトップから1秒以内という好成績が複数回必要となる。現実的に考えて、今の日本チームには厳しすぎる条件と言えるだろう。

であれば、2枚はあるはずのチケットを確実にものにすること。それが当面、日本チームがやらなければならいことであり、6日間4レースという強行スケジュールが組まれた理由なのである。

その最初の戦い、今季ヨーロッパカップスラローム第3戦は、12月16日、オーバーエッゲンで行なわれた。熱心なファンの方なら、すでに結果をチェックしているだろうが、日本チームは佐々木が24位になったのが唯一の成績。他の選手は、すべて途中棄権か旗門不通過で失格となった。

このレースにはAチームの3人に加えて、ソチチームーー次期ソチ五輪(2114年)に向けた強化を行なう若手主体のチームーーから大越龍之介と石井智也のふたりが出場。ヘッドコーチのゲオルグ・ヘルリゲルの言葉を借りれば「フルハウス!」の顔ぶれである。しかし、ポーカーでは強いはずのメンバーだが、結果の方はかなりお寒い状況となった。

オーバーエッゲンのスラロームコースは標高差173m。前半が長い緩斜面で、中間付近から徐々に斜度はきつくなるが、急斜面と呼べるほどのものではなく、地形的な難度は低い。そのかわり、出場選手のなかには、ラインフリート・ヘルブスト、マンフレッド・プランガー(以上オーストリア)や、マティアス・ハルギン(スウェーデン)、パトリック・ターラー(イタリア)、マイケル・ジャニック(カナダ)ら、ワールドカップの第1シード選手も出場しており、通常のヨーロッパカップよりも選手のレベルはかなり高かった。

1本目は皆川がトップのジュリアーノ・ラッツォーリ(イタリア)から1秒74遅れの18位につけたのが最高で、佐々木は前半に大きなミスを犯し39位と出遅れ。また湯浅は後半の中斜面でポールをまたいで失格となった。

2本目も皆川が前半部で内傾してコースアウト。さらに大越、石井も相次いで途中棄権に終わり、辛うじて佐々木が合計タイムで24位に順位を上げたのみだった。結果から見れば、依然として低迷を抜け出せてはいない。

総じて低調なレースに終わった日本チームだが、佐々木の滑りにときおり彼らしさが戻ってきたことは、収穫かもしれない。とくに2本目後半は好調時を思わせるダイレクトなアタックが見られ、バラバラになりながら強引にスキーを落としていくアクロバティックなスラロームが垣間見られた。

また失敗に終わったが、皆川も滑りの感触は良くなりつつあるようで、表情も明るかった。

いずれにしても、残された時間とチャンスは多くはない。苦しみながらも前に進み、少しでも早く、上昇へのきっかけをつかんでほしいものだ。

写真キャプション
【写真3】ゲートをまたいでしまった湯浅直樹。まだ滑り急いでいるのか、滑りが安定しない。
【写真4】大越龍之介は2本目で途中棄権。ゲートに当たった衝撃でストックのグリップが外れるアクシデント
【写真5】83番スタートからよく粘った石井智也だが、2本目のゴール前で転倒に終わった

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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