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スキー コラム 2009年2月27日

【アルペンスキーW杯転戦記】クラニスカ・ゴラ(スロベニア)

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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アルペンスキー世界選手権(2月3日~15日:フランス/ヴァル・ディゼール)のために中断していたFISアルペンスキー・ワールドカップは、イタリアのセストリエール、で再開された(女子はタルヴィシオ)。ただし、セストリエールのレースはジャイアント・スラロームとスーパー・コンバインドのみ。スラロームとしては、今週末クラニスカ・ゴーラの第9戦3月1日が、約1カ月ぶりのワールドカップ・レースとなる。

クラニスカ・ゴーラは、スロヴェニア最大のスキーリゾートだ。首都リュブリャナから1時間弱で到着するという便利なアクセスを誇り、イタリア、オーストリアとの国境にもほど近い。ただしアルプス山脈の東端に位置するため、ワールドカップの多くの会場に比べると標高は低く、トップの標高が1350mしかない。ほとんどが北斜面なので雪質はそれほど悪くないが、開催時期によっては、コースが荒れやすいという特徴を持っている。

正式な大会名は「Pokal Vitranc」といい、今年で48回の開催。ワールドカップ創設以前からの長い歴史を持つクラシックレースのひとつである。競技種目は伝統的にジャイアント・スラロームとスラローム。残念ながらダウンヒルやスーパーGの高速系種目を行なうほどのスケールはないが、技術系種目にはサイズ的にも地形的にもちょうど良い。近年はコースがだいぶ整備され、かつてのようなクセはなくなったものの、それでもクラシックなコース特有の細かな斜面変化が選手を悩ませる。

スラローム・コースの前半は、短い周期で中・緩斜面が交互に現れる。果敢に攻めるべき区間だが、ポールのセット次第では思わぬ落とし穴が隠されているため、意外に厄介だ。中間過ぎで急斜面に突入。ここからゴールまでは、ほぼ1枚バーンで急傾斜が続く。この部分のコースが荒れると、レース展開も荒れる。とくに2本目は、雪が緩みやすいので意外な結果となることも多いのだ。1本目で上位につけた選手がそのリードを守りきれるかどうか、雪質が合計タイムを大きく左右することになるだろう。仮にコースがぼこぼこに掘れれば、1本目上位選手はかなり苦しむことになるだろう。逆にいえば1本目を下位で通過した選手は、大逆転のチャンスがつかめることになるわけで、2本目の滑り次第でジャンプアップも可能なのだ。予報によれば、今週末のクラニスカ・ゴーラの気温はかなり高め。日中は10度近くまで上がることもありそうだ。予報が的中すれば、春のレース特有の、荒れ模様の展開となることも充分に予想される。

さて、今季の男子スラロームはこのレースを含め残すところあと2レース。種目別のタイトル争いも終盤を迎えている。現時点でトップを走るのはジャン・バティスタ・グランジェ(フランス)で、2位イヴィッツァ・コスタリッチ(クロアチア)との差は71点。グランジェ優位の状況であることは間違いないが、2月になってからやや調子を落としているのが気になる。彼は昨シーズンも終盤までリードしていながら、最終戦でマンフレッド・メルク(イタリア)の追い上げを食らって逆転されているだけに、なんとしても逃げ切りたいところ。地元開催のヴァル・ディゼール世界選手権での金メダル獲得という目標を果たせなかった彼にとっては、ワールドカップのタイトル奪取は大きなモチベーションであるはずだ。

一方のコスタリッチにとっては、1月末に痛めた背中の負傷がどれだけ回復しているかがポイント。ヴァル・ディゼール世界選手権の後半を休み、休養と治療に当てた彼は、満を持してのワールドカップ復帰だ。先週末のレース(セストリエールでのジャイアント・スラロームとスーパー・コンバインド)を見る限り、それほどど心配なさそうだが、スラロームのパフォーマンスがどの程度戻っているかは未知数。このふたりは、総合得点でも1、2位に並んでおり(こちらはコスタリッチが31点差でリード)、大クリスタル・トロフィーをめぐる争いは熾烈を極めている。スラロームの種目別タイトルをつかむためには、ある程度の冒険もしなければならないが、しかし総合タイトルのことを考えると、コースアウトは絶対に避けなければならないという複雑な状況だ。ふたりともスラロームをもっとも得意とするだけに、その駆け引きはむずかしい。もちろん、総合タイトルに絡むのは彼らだけでなく、ベンジャミン・ライヒ(オーストリア)、アクセル・ルンド・スヴィンダール(ノルウェー)、ディディエ・クーシュ(スイス)と強豪が控えており、最終戦に向けてレースごとに順位が入れ替わることもあるだろう。

世界選手権で惨敗した日本チームにとっては、ひょっとしたらこれが今季最後のワールドカップ・レースとなるかもしれない。最終戦は基本的に各種目のランキング上位25人しか出られない(他にはワールドカップの総合得点で400点を突破した選手とジュニア世界選手権の優勝者)からだ。実際には他の選手の成績によっても変わってくるが、少なくとも湯浅直樹はこのレースで5位、今季まだ1度もポイントをとっていない佐々木明は、2位に入らないとスウェーデンのオーレで行なわれる最終戦への出場権は得られない。現状ではかなり厳しい条件と言わざるをえないが、可能性がゼロでない以上、最後のチャンスに全力をかけてほしいところだ。

なお、皆川賢太郎はこのクラニスカ・ゴーラを欠場し、一時日本に帰国。ファーイーストカップのジャパンシリーズと全日本選手権に参加する予定だという。ワールドカップに出場しないのは残念だが、そのかわり日本のレースを滑る彼を見るまたとないチャンス。ファンの方にはぜひ会場(志賀高原と野沢温泉)に足を運ぶことをおすすめしたい。

【写真1】マンフレッド・メルク
昨シーズンのクラニスカ・ゴーラSLの勝者はマンフレッド・メルク。彼にとってワールドカップ初優勝だったが、これで勢いに乗った彼は、スラロームの種目別チャンピオンに輝いた

【写真2】湯浅直樹
1本目30位でぎりぎり2本目に進んだ昨シーズンの湯浅直樹。2本目はベストタイムを記録し合計では14位にまで急上昇。今季もその再現を期待したい

【写真3】イヴィッツァ・コスタリッチ
現在総合でトップに立つイヴィッツァ・コスタリッチは、スラロームでも2位につけている。背中の痛みが気になるところだが、タイトル獲得に向けて闘志は旺盛だ

【写真4】ジャン・バティスタ・グランジェ
ヴァル・ディゼール世界選手権では、1本目3位の好位置につけながら2本目で転倒してしまったジャン・バティスタ・グランジェ。コスタリッチとのWタイトル争いすべてを賭ける

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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