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スキー コラム 2009年1月9日

【アルペンスキーW杯転戦記】アデルボーデン(スイス)

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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アデルボーデンは、スイスを代表する高級リゾートのひとつ。古くは温泉療養の保養地として栄えたが、現在は変化に富んだコースと豊富で良質の雪を求めて多くのスキーヤーやスノーボーダーが集まってくる。もちろん雪のない時期には登山・トレッキングなどでも人気が高く、1年を通じて楽しめる山岳リゾートとして、高い評価を得ている。

コースは広大だが、村自体は、とても小さい。エングスティゲンの谷を上り詰めたどん詰まり。周囲を山々に囲まれ、静かで牧歌的な空気が流れる美しい村だ。その様子は、日本人が想像するアルプスのイメージそのものといってよいだろう。

だが、年に1度アルペンスキーのワールドカップがやってくる週末だけは、アデルボーデンも熱狂と興奮に包まれる。狭く険しい山道1本でつながる交通不便なこの村に、2万人以上のファンが集結するからだ。

アデルボーデンは、もっともむずかしいGS(ジャイアント・スラローム)コースを持つスキー場として知られている。標高差436m、全長1430mというスケールのChuenisba"rgli(クエニスベルグリ)は、アルタバディアのGran Risa(グランリサ)と並ぶGSの難コースだが、そのプロフィールはかなり異なっている。全体の3分の2が急斜面というグランリサに対して、このクエニスベルグリは、いたるところにねじれやうねりがあるのが最大の特徴。痩せた尾根に開かれたコースは、幅が狭いうえに複雑怪奇な地形。急斜面・中斜面・緩斜面がめまぐるしく変化し、かと思えば突然片斜面が現れたりもするのだ。さらに逆バンクをほぼ直角に右に曲がった後、凄まじい角度で落ち込むゴール前の急斜面は、世界のトップレーサーでさえ攻略に苦労する難所中の難所といえる。

アデルボーデンといえば、長いことGSの聖地であった。ワールドカップが創設される以前から、ここでは毎年GSの国際大会が行われており、ワールドカップに組み込まれるようになってからも、競技種目はGSに限られていたからだ。しかし2000年の冬に初めてスラロームを開催。以後アデルボーデンはスラロームの会場としても、着実に評価を高めてきた。当初スラロームは2年に1度の開催だったが、2006年からは毎年行なわれるようになったこともあり、もはやアデルボーデンはGSだけのスキー場ではなくなったといえるだろう。

GSコースの中間過ぎをスタートとするスラロームは、前半が変化に富んだ中・緩斜面、そして後半が超絶急斜面という構成で、これまた多くのトップスラローマーたちを苦しめる。ただでさえむずかしいコースは、ひとたび斜面がアイスバーンとなれば、その難度はさらにアップ。完走することさえままならない非情なコースとなる。ちなみにワールドカップのコース作りの責任者であるハンス・ピエレンはアデルボーデンの出身。かつてGSの名手としてスイスチームの中核メンバーだった彼は、現在はコース作りのエキスパートとして活躍している。昨年一昨年と暖冬傾向でコースが軟らかかっただけに、今年は地元でのコース作りに並々ならなぬ意欲を燃やしているという。彼がめざすのは、もちろん完璧に氷結したアイスバーン。はたしてレース当日は、どのようなコースが仕上がっているか。その仕上がり具合もレース展開を左右する大きな要素となるに違いない。

GSは地元スイスチームが今季絶好調。種目別で首位を走るダニエル・アルブレヒトを筆頭に、ベテラン、ディディエ・クーシュと新鋭カルロ・ヤンカがいずれも有力な優勝候補としてあげられる。この状況を反映して、おそらく例年以上の数のファンが会場を訪れるはず。その声援を力に変えることができれば、この種目におけるスイス優位はますます揺るぎないものとなるだろう。

一方のスラロームでは、アルタバディア(第2戦)、ザグレブ(第3戦)と激しい一騎討ちを演じたジャン・バティスタ・グランジェ(フランス)とイヴィッツァ・コスタリッチ(クロアチア)を中心とした戦いとなるだろう。現在の段階ではふたりの力が抜け出ている状態で、対照的になかなか調子の上がってこないマリオ・マット(オーストリア)、マンフレッド・メルク(イタリア)、フェリックス・ノイロイター(ドイツ)ら、この種目の実力者たちが、これをどう巻き返すかも興味深い。

【写真1】最後の急斜面に飛び込む昨年の勝者ダニエル・アルブレヒト(スイス)。今季も絶好調なだけに2連覇の可能性も高い

【写真2】昨年のスラロームでは、軟らかい雪質を柔らかなタッチで攻略したマリオ・マット(オーストリア)が制した

【写真3】ゴールエリアは大観衆で埋め尽くされる。さらにこの後ろには大きなイベント広場が設けられ、多数の屋台も出現する

【写真4】痩せた尾根上に延びるスラロームコース。この後右に鋭く曲がった後、目もくらむような急斜面がゴールまで続く

【写真5】昨年の大会では湯浅直樹が19位。佐々木は1本目で7位につけたが、2本目で失敗し26位に順位を下げてしまった

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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