田村岳斗 -華麗なる舞-

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このブログについて

【田村岳斗】
1979年5月28日生まれ。
プロスケーター&コーチとして活躍する男子フィギュアスケーターの第一人者。
高校3年時(1998年)に長野五輪出場。全日本選手権優勝2度の実績を持つ。現在は、関西を拠点に、未来のメダリスト育成に務める。

フィギュアスケート 16/17シーズン 2016年12月28日

全日本が終わりました。

田村岳斗 -華麗なる舞- by 田村 岳斗
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全日本が終わりました。
うちから出場した7人の選手はそれぞれ力を出してくれました。

宮原知子の今回の目的は勝つ事。

" 狙って勝つ。"

それがどれだけ大変なことか覚悟した上で、
あえて順位を意識するようにしていました。
普通であればそういう考えをしないようにするところかもしれませんが...。

勝って当たり前と思われる状況で、
さらに自分にプレッシャーをかけて彼女は勝ってくれました。

今回の演技、滑り自体には僕たちに「満足」「納得」「感動」はありません。
フィギュアスケートに限らず、
すべてのアスリートがすべての試合で観る者を感動させて、
自身も「満足」「納得」し、勝利することはほとんど不可能だと思います。
もちろんそれが理想ですが、現実はそう簡単ではありません。
この大会2連覇中の宮原の立場上「勝つ事」が第一優先。
それをするために長い時間をかけて準備もしてきました。
そして、その目的を達成してくれたことに、僕は「納得」「満足」しています。

タイトルを守り、3連覇を達成したことはとても価値があります。
世界選手権には今まで2回出ていますが、
この状況を勝ちきったことで、ようやく3回目にして世界と戦う準備ができたと感じています。

総合4位に入った本田真凜は、
先シーズンの世界ジュニアチャンピオンなだけに、
代表落ちさせるわけにはいきません。
今年は全日本ジュニアでも3位でしたし、
ジュニアGPファイナルには進みましたが滑ることができませんでした。
インフルエンザにかかり、十分な練習時間もとれず、
不安が大きい中で、世界ジュニアの代表になれたことにホッとしています。
真凜に関しては、本当に僕には読めないところがあり、
試合によって天使が出るか悪魔が出るかわかりません。
今回も想定外の部分がありましたが、結果的に天使が出ました。
ただ、毎回うまくいくとは限らないのがフィギュアスケートです。
それでも、まだまだ未知数の力を秘めている点は、とても魅力的な選手だと思います。

白岩優奈は、SPで17位と出遅れましたが、
フリーで挽回して6位に入ることができました。
SPでは多くの方がスピン中の手袋の不運ばかりに目がいくと思いますが、
ダブルアクセルの失敗はその前の事で、見逃すことができません。
それまではとてもいいジャンプだっただけに、
試合中に集中力を欠いたジャンプを跳んでしまったのは反省点です。

手袋は僕も予想できなかったことですが、
例え手袋の事があったとしてもダブルアクセルさえしっかり跳んでいれば、
もっとラクな試合展開だったはずです。
僕の立場上、今後のためにも不運だったでは片付けられないSPでした。

フリーに入る前、彼女には技術的なことは言わず、
「確実に順位を10コ上げろ!その能力はある」と言いました。
先シーズンの成績は5位で、真凜同様世界ジュニア出場もかかっていますから、
彼女もまたこのまま終わらせるわけにいきません。
結果としては、僕の要求以上の11コ順位を上げて世界ジュニア出場権も獲得。
目標を達成して、期待に応える滑りを見せてくれました。
あとは、SPをしっかりと滑ってメダル争いのプレッシャーの中で、
今回のフリーと同じような演技をすることが重要です。

15位になった細田采花は、目標を15位以内に設定していて、
その通りの結果を出してくれました。
15位以内は来シーズンの枠取りに貢献できる順位でもありますし、
彼女自身もその順位は自身最高位。大学4年ということもあり、
おそらく最後の全日本という中で、いい形で結果を出して欲しいと思っていました。
普段からよく練習をする選手で、僕の厳しい言葉をいちばん受けてきた選手でした(笑)。
ショートプログラムでは1番滑走という当たりくじを引いてくれたので、
「コーチ思いでありがとう。おかげで朝早く起きて健康的だ。」と声を掛けました。

細田は、普段から宮原、真凜、白岩たちのムード作りをしてくれる選手で、
今回の試合でもチームのムード作りも果たしてくれたことで、
他の選手たちの結果にもつながったと思っています。

それにしても今年の全日本、男子SPは中村優が最終滑走。
女子SPは細田が一番滑走。
金曜日は、朝6:20の公式練習から夜の21:00過ぎまで、
土曜日もほぼ同様でしたが、
「最初から最後まで」試合でリンクにいた時間の新記録かもしれません。

男子については、また次にします。

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