田村岳斗 -華麗なる舞-

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このブログについて

【田村岳斗】
1979年5月28日生まれ。
プロスケーター&コーチとして活躍する男子フィギュアスケーターの第一人者。
高校3年時(1998年)に長野五輪出場。全日本選手権優勝2度の実績を持つ。現在は、関西を拠点に、未来のメダリスト育成に務める。

フィギュアスケート 16/17シーズン 2016年10月21日

ジュニア選手たちのがんばり

田村岳斗 -華麗なる舞- by 田村 岳斗
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 今シーズン、女子のジュニアGPにチームから4人の選手が出場しました。

紀平梨花がスロベニア大会でトリプルアクセルを決めてくれたことは
とてもうれしいできごとでした。

まだ紀平がトリプルアクセル習得にとりかかる前に、
ウチのボス濱田美栄先生が「この子はトリプルアクセルいける」と言っていたのを思い出し、
まだ試合中なのに僕はゾクゾクしていました。

それが現実になった瞬間その場にいれたという幸運と、
そういう事があるかもしれない重要な試合を任せてくれた濱田美栄先生、
やってくれた紀平に感謝しています。
今シーズン、彼女にとっては初のジュニアシーズンですし、
その中でいい経験をして欲しいと思っていました。

僕がドイツ遠征中に行われた近畿ブロックの試合でもトリプルアクセルを決めたようですが、
他のトリプルジャンプと同じような感じで跳べるようになってくれたらと思います。
彼女は練習ではトリプルアクセルにコンビネーションで3回転を付けることもできますが、
現在のルールではスコア的にはコンビネーションの価値はどのジャンプに付けても同じです。
それなら例え第一ジャンプの難易度が低くても
後半の1.1倍のところに付ける方が全体の基礎点は上がります。

過去には伊藤みどりさん、浅田真央選手、中野友加里さんといった偉大な人たちが、
トリプルアクセルを跳んでいますが、
そこに3回転でコンビネーションを付けた選手はいないと聞いています。

そういったこともモチベーションの一つになると思いますし、
今後のルール改正も考えてタイミングやコンディションを見て、
そうしたプログラム構成もあるかもしれません。

本田真凜。
普通に考えれば、6人しかいないジュニアGPファイナルに進めるだけでもすごいことです。
ただ、世界ジュニアチャンピオンになっていることを考えると、
GP2戦連続2位は彼女のポテンシャルからすれば全部は出し切れていませんし、
本人もそれがわかっているでしょう。
シーズン中盤から後半に向けて、さらにレベルを上げていくことを期待しています。
ファイナルまでにまだ試合があります。
SP、フリー2日間ともきちっと揃えることができるようになれば、
本人も僕らも期待どおりの結果を残せるようになると思っています。
気が向いた時の爆発力は僕の想定の範囲をはるかに超えています。
(毎試合気が向いてほしいですが・・・)

白岩優奈は、ロシアGPで4位。ドイツGP2位になりました。
ドイツでは表彰台に乗ることができ、
彼女にとっては約1年ぶりの国際大会の表彰台となりました。
昨シーズンのJrGPファイナル、ユースオリンピック、世界Jr、
今シーズンのJrGPロシアと4位、5位といったもう一歩の成績が続いていましたが、
やっと戻ってくれたという感じです。

昨シーズンのジュニアGPが2試合連続で優勝しているだけに、
成績が落ちているように見えるかもしれませんが、
実は4月に新プログラム振り付け中にケガがあり、
2カ月間氷に乗れない期間がありました。
出遅れた不安や焦りはあったはずなのに、
泣き言は言わず、いい訳せず、ケガを乗り越えて、
ドイツ大会では素晴らしいフリーを見せてくれました。

「ケガも実力のうち、言い訳にしかならないから、
この事はいい結果が出るまでは他には言わないで欲しい」

ケガの後のこのような彼女の男前で前向きな態度をずっと見ていたので
嬉しくてちょっと泣きそうになりましたが、
本人があまりに冷静で涙は出る前にスッとひいてしまいました。
本人はフリーの後、さっさと着替えに行こうとしたのですが、
僕は表彰台があるかもしれないと思い、ちょっと待てと声を掛けたほどでした。
それだけに、ドイツの試合で2位になったのは本当にうれしい出来事でした。

「よく戻った。お帰り。」

 ロシア大会にJrGP初出場した岩元こころは、
SPでミスがありましたがフリーでは素晴らしい滑りを見せてくれました。
高2で国際試合出場が初めてというのは、かなり遅い方です。
経験がないままやっと掴んだ舞台で堂々と滑ってくれました。
もともとジャンプセンスは優れたものがありますし、
これがいいきっかけとなって、
さらに高い意識を持ってこれから挑戦していって欲しいと思います。
ここがゴールではなく、ここからがスタートです。
外国人選手と戦う意識を持って、国内の試合にも勝っていく。
それが重要です。

 これからシーズンは中盤へと向かっていきます。
全日本ジュニア、ジュニアGPファイナル、そして全日本。

未来を背負うジュニアたちのがんばりにもぜひ注目しつつ応援をお願いします。

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※選手に掲載許可は得ています。

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