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【田村岳斗】
1979年5月28日生まれ。
プロスケーター&コーチとして活躍する男子フィギュアスケーターの第一人者。
高校3年時(1998年)に長野五輪出場。全日本選手権優勝2度の実績を持つ。現在は、関西を拠点に、未来のメダリスト育成に務める。
全米フィギュアは、ジェイソン・ブラウン選手が
シーズン前半の安定感をそのまま発揮して、
初のアメリカ・チャンピオンに輝きました。
いつもやっていることを、しっかりとこの大会で出せたのは、
練習の裏付けがあるからこそですね。
2位に入ったのはアダム・リッポン選手でした。
彼はトリプルアクセルの確率があまり高くないイメージがありましたが、
今回のフリーでは2本とも決めていました。
4回転ルッツもダウングレードされたとはいえ、あそこまでもっていけるのは凄い事です。
今回の2位は、アクセル2本の成功が大きかったと思います。
フリーの滑りが素晴らしかっただけに、SPで出遅れたのがもったいなかったですね。
リッポン選手に限らず、他の選手にとっても、2日間揃えるというのは大きな課題です。
選手にとって、それがどんなに難しいかと言うと、
まずSPはジャンプが3つしかない分、
1回でも失敗すると、そのウエイトが非常に重くなってしまいます。
1つのジャンプは、約34%の比重なのに対し、
フリーは8本ですから、1本失敗したとしても12.5%。
仮に1本失敗しても、残りは90%近くですから十分挽回が効きます。
ただ、体力的にも8本のジャンプを跳ぶのは大変ですし、
どんなに調子が良くても、
8つのジャンプ全てを完璧なタイミングで踏み切れることはほとんどありません。
例えベストのタイミングで踏み切れなかったとしても、
着氷まで持っていけるだけの強さが求められます。
もちろん、ステップやスピンも大切ですし、2日間通した精神状態もまた重要です。
SPでうまく行った時、フリーでどう戦うのか考えすぎて自滅することもありますし、
あるいは、リッポン選手のようにSPで失敗した分、
フリーで開き直っていい結果を出せることもあります。
フィギュアスケートは、格闘技のように相手と直接対決するわけではありませんので、
自分の身体と精神をしっかりとコントロールできればいいのですが、
やはりライバル選手を意識してしまいます。
それだけに、練習を積み重ねることで、
どんな状況にも対応できるようにしていくことで、
初めて2日間揃えることができるのだと思います。
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