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【田村岳斗】
1979年5月28日生まれ。
プロスケーター&コーチとして活躍する男子フィギュアスケーターの第一人者。
高校3年時(1998年)に長野五輪出場。全日本選手権優勝2度の実績を持つ。現在は、関西を拠点に、未来のメダリスト育成に務める。
今年の全日本で宮原知子が初優勝しました。
2日間通して、本当に素晴らしい滑りを見せてくれました。
フリーの得点が出るまでの時間が本当に長く感じ、祈るような気持ちで待っていました。
優勝が決まった時は、僕の今までの人生の中で1番うれしい瞬間でした。
宮原は、あの雰囲気とプレッシャーの中で、彼女の情熱を、冷静さを持って表現してくれました。
もちろん、練習ではもっといい部分もありますし、逆に練習以上にいい部分もありましたが、
何よりも、あの舞台でやり切れる強い精神力を発揮してくれました。
これまでプログラムもなかなか評価してもらえなかったのですが、
彼女の持つ表現力も評価してもらえました。
宮原は、何をやるにも、本当にちょっとずつちょっとずつですが前に進んでいきます。
初めて会ったのは、彼女が小学2年生の頃だったと思います。
当時はまだ1回転半も出来なくて、このままやっていけるのかなと思いました。
それが「できるまでやっておけ」と僕が言って、
そのままうどんを食べに行ったことがありました。
その時、僕は自分が言ったことを忘れてしまって、
40~50分くらいたって戻ったのですが、リンクで彼女は泣きながら必死に続けていました。
今、その話をすると、宮原は覚えていないと言うのです。
言われたことをできるまでやるのは、彼女にとって当たり前のことなんです。
進化のスピードは決して速くないのかもしれませんが、必ず前に進んでいける選手です。
どんなに時間がかかっても、あきらめずにできるまでやり続けることができる。
トップ選手に比べたら、身体能力が高くなくても、努力をし続けられる事が宮原の才能です。
今回、宮原は、世界選手権の代表に初めて選ばれました。
初の大舞台とはいえ、日本チャンピオンとして出る以上、周囲の目も違うでしょうし、
プレッシャーもかかってくるはずです。
いい時も悪い時も、声援も批判も両方を受け入れてそれを力にして、
周囲がどんなに変化しても、絶対にブレない強いスケーターになってほしいと思います。
木原万莉子は、2年連続で8位になりました。さらに上の順位を狙っていましたが、
フリーの前半でミスもあり、その目標は達成できませんでした。
しかし去年がまぐれではなく、十分に実力があるということは証明できたと思います。
もう1つ上に行くには、試合で力を出しきれるように、練習を積み重ねていくしかありません。
試合で起こるあらゆる状況を想定しながら、どういう風に対応すればいいか。
それを1つ1つ考えてやっていくことで、また次の目標に到達できるはずです。
最後に、宮原、木原を応援していただいたみなさん、本当にありがとうございました。
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