田村岳斗 -華麗なる舞-

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このブログについて

【田村岳斗】
1979年5月28日生まれ。
プロスケーター&コーチとして活躍する男子フィギュアスケーターの第一人者。
高校3年時(1998年)に長野五輪出場。全日本選手権優勝2度の実績を持つ。現在は、関西を拠点に、未来のメダリスト育成に務める。

日本人スケーター 2012年12月22日

全日本男子SPが終わりました。

田村岳斗 -華麗なる舞- by 田村 岳斗
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全日本男子SPが終わりました。とんでもないスコアでトップに立った羽生選手は、最終滑走で最高の演技を見せてくれました。6分間練習ではあまりいい感じには見えなかったのですが、本番では完璧に4回転も入り、他のエレメンツも素晴らしかったです。将来、しかもかなり近い将来、世界チャンピオン誕生を予感させるSPでした。ただ、スケートアメリカのSPで10点近いリードをつけながら、フリーで守りきれなかった経験もあります。また、全日本は独特の雰囲気がありますから、それを克服して、フリーも昨日のSPのように滑ることができれば、念願の日本一に近づけるでしょう。

2位の高橋選手は、4回転の着氷はなんとかこらえました。彼の実力からすればベストの滑りではなかったけれど、悪いなりにも「底力」を見せてくれたと思います。

小塚選手は、最初の4回転こそステップアウトしましたが、他のジャンプ、スケーティングは質の高さがありました。同じく織田選手も、最初の4回転の失敗はありましたが、その他のジャンプは彼本来が持つ力を出せていました。

4位に入った無良選手は、4回転-3回転も決めて、さらにトリプルアクセルは今大会一滞空時間、迫力のある男前ジャンプでした。SPが良かったからといって、必ずしもフリーが同じとは限りません。滑走順も含め、まだまだ勝負はわかりません。

ところで、SPのMVPを選ぶとしたら、僕は佐々木選手を選びます。彼はいつもパフォーマンスで魅せてくれますが、ジャンプで泣いてきました。それが今回、あの会場の雰囲気の中で、しっかりとジャンプも決めてきました。寒い北海道を熱くしてくれたおかげで、僕も汗をかいたほどです。

もう1人、ブレードが折れてしまった堀之内選手は、本当に悔しい思いをしているでしょう。彼は僕の日大の後輩にあたります。日下コーチは同級生です。それだけに余計に2人の悔しさがわかります。実は、今年の8月のアイスショーの時に、僕もブレードが折れるという体験をしました。それも1日の猶予があったので小塚選手に手伝ってもらいながらなんとか対応ができました。もし替えのブレードを持っていたとしても、あのタイミングで限られた時間の中ではつけ替えるのは不可能だったでしょう。彼にとっては引退のシーズンなだけに余計に悔しさも募ると思いますが、長い人生の中で考えればまだまだやれることはあります。インカレも国体もあるでしょうし、今回の悔しさを晴らす機会が必ずやってきます。

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