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すべてを超越し、アリーナを天上の至福で満たしたガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組「キャリアの中で最も美しい大会でした」 | ISU世界フィギュアスケート選手権2022 アイスダンス レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部シニアに上がってからの9年間……コロナ禍で昨シーズンは1試合も出場しなかったことを考慮すると8年間で、パパダキス&シゼロンが積み上げた戦績は国内選7勝、グランプリファイナル2勝、欧州選手権5勝、世界選手権5勝、さらには五輪の金と銀を1つずつ。文字通りすべてを勝ち取った2人が、果たしてこの先どこへ向かって行くのかは分からない。「まだ将来については考えていません」と語るように、今はただシャンパンゴールドの歓喜に酔い、ようやく軽くなった心で、アイスショーとバカンスを楽しむのだろう。
引退を明言してシーズンに乗り込んだのがマディソン・ハッベル&ザカリー・ダナヒュー組だった。北京五輪で悲願のメダルを獲得した後、人生4度目の世界選メダルで、キャリアの有終の美を飾った。
最後の瞬間まで、誰よりもダイナミックな演技を貫き通した。確かな技術力で氷を支配し、FDの基礎点では優勝組を0.01点上回りさえした。なにより高い身体能力を誇る2人だからこそ可能な、FD序盤のリフトでは、今大会最高の加点を得た。RD・FD・総合のすべてでパーソナルベストを更新した。
「演技中には泣きたくない」。そうRD後に語っていたハベルは、朝の練習中に涙を出し切った後、本番でFD「ドローニング」を甘く、儚く、切なく演じ終えた。美しい余韻を残したまま、ハベル&ダナヒュー組は競技会に別れを告げた。
「こんな風にキャリアを終えられるなんて最高ですし、光栄に思います。すべてのアスリートが望み通りのやり方で引退できるわけではない中で、私たちは、この競技への大きな愛とともに舞台を去ることができるのですから」
少なくともあと1年は続ける、そう宣言するマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組は、6年ぶり(2020年大会は中止のため5大会ぶり)にメダルを奪還した。
五輪ではRDでバランスを崩すミスがあったが、今世界選は高い完成度で滑りきり、自己ベストを更新した。1年前のストックホルム大会では、やはりRD3位発進ながらも、FDで逆転され4位に沈んだが……モンペリエでチョック&ベイツ組の立場が揺らぐことはなかった。今シーズン屈指の名プログラムFD「コンタクト」は、何度見ても新鮮な驚きと発見に満ちていて、創造性の高い中盤のコレオグラフィックスライディングムーブメントは、GOE満点の加点で絶賛された。
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