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完璧なショートと、最高レベルに近づいたフリーで金メダルの宇野昌磨「もっと成長をしていきたい。そう願っています」 | ISU世界フィギュアスケート選手権2022 男子シングル レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部「悔しいという気持ちもありますが、まだまだお前の実力じゃダメだ、とも思い知らされました。でも飛躍につながった試合でもあります。今後はもっともっと上を目指す覚悟でやっていきます」
銅メダルはヴィンセント・ジョウがつかみ取った。新型コロナウイルス陽性で、五輪個人戦出場が果たせなかった絶望から、見事に這い上がった。
開幕1週間前まで、出場できるような心理状態でさえなかったと告白する。しかしトライしなかったことを後悔したくない、と乗り込んだフランスで、「心の檻」が開いた。
「ただ自分のためだけに戦ったんです。今大会の僕は、奇妙なほど、自由な気分でした。どんなプレッシャーからも解放されていました。あらゆる瞬間を楽しめましたし、笑顔で良い時間を過ごせました」
回転不足をいくつかとられたせいでSPは6位で甘んじたものの、FSでは難度の高い構成で勇敢に戦った。「質の高いジャンプ」と「2本の素晴らしいプログラム」を揃えたことが誇らしい、と語るジョウにとっては、3年ぶり2度目の世界選銅メダルだった。
アメリカの2人の初出場選手も、それぞれに素晴らしい成果を持ち帰った。SPで4人が100点超えというハイレベルな戦いで、その4人目に飛び込んだのがイリア・マリニンだった。世界選のミニマム取得のため2月末にチャレンジカップに出場したことなど、まるで笑い話のように。
17歳の新星は、残念ながらFSで大きく崩れた。3本目のジャンプまでは、とてつもなく完璧だった。しかし「ナーバスになりすぎていた」というマリニンは、4本目の4回転サルコウで大きく転倒。その後も2つのジャンプで失敗し、FS11位・トータル9位と大きく順位を下げた。わずか3週間後に控える世界ジュニアでは、今回の教訓を活かし、「大胆なことに挑まず、まずはできる限りクリーンな演技を心がけるつもりです」とのこと。
一方でSPは12位と出遅れたカムデン・プルキネンが、FSでは3位スモールメダルを獲得した。なんとパーソナルベストを28点近くも一気に塗り替える会心の滑りで、代打による初出場ながら、総合でも5位に躍り出た。
ロシアの拠点で練習できず、イタリアで調整を積んできたモリス・クヴィテラシヴィリは、自己最高の総合4位に食い込んだ。
またウクライナから出場したイヴァン・シュムラトコは、SP・FS共に渾身の演技を見せた。「明るい笑いに満ちた愛ある暮らし。ただ1つの道は、僕らの地獄を切り裂きながら、夜の向こうへと伸びていく」……そんな歌詞に乗せて、氷上から平和の尊さを訴えた。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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