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15歳のカミラ・ワリエワが恐ろしいほどにハイレベルな戦いを制す | ロシアフィギュアスケート選手権2022 女子シングル レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部だからこそエリザヴェータ・トゥクタミシェワの失望は、とてつもなく大きいものだったに違いない。昨季は6年ぶりの世界選手権表彰台に歓喜した。五輪に向けて自分らしいプログラムを2本用意した今季も、グランプリ大会2試合で銀メダル獲得と絶好調だった。世代交代の大波をかい潜り、14度目のロシア選手権に乗り込んできた。いまだ手にしたことのない五輪行きの切符を、25歳の今、ついにもぎ取る準備は出来ていた。
運命の女神は非情だ。SPでは冒頭の3回転アクセルで転倒し、コンビネーションでも2本目に3回転がつけられなかった。SP7位からの逆転表彰台にかけて挑んだFSは、トゥクタミシェワ本人としては「クリアな精神と自信に満ちた肉体」とで臨んだはずだった。冒頭には3回転アクセル2本を飛び、その後も全てのエレメンツをきっちりこなしつつ、オリエンタルな曲調の激しいダンスで、サンクトペテルブルクの観客を興奮の渦に巻き込んだ。
しかしキス&クライで現実を突きつけられた。2本目の3回転アクセルには回転不足がとられた。後半のコンビネーションジャンプは「SEQ(シークエンスで基礎点の0.8倍)」と判定され、締めくくりのスピンでは基本姿勢不足。「自分にできることはすべてやった。それこそが一番大切なこと。すべては終わった。今は休息が欲しい」と、トータル7位で立ち去った。
表彰台のすぐ下には、今季のジュニアグランプリで表彰台をほぼ独占した3人が続いた。スロベニア大会を制した14歳アデリア・ペトロシアンは、身長140cmの小さな身体で安定したジャンプを次々と決めた。4回転ループを2本入れたFSは3位に食い込み、スモールメダルのご褒美を持ち帰った。同じく14歳のソフィア・サモデルキナはすでに成熟した大人の雰囲気を湛える。SPでは3回転アクセルを、FSでは4回転2種類3本を組み込み、とてつもなく高いポテンシャルをうがわわせる。
6位には15歳ソフィア・ムラビヨワが入った。オーストリア大会の勝者は軽やかに3回転アクセルを決めた上に、他の要素で全てレベル4を並べてSP3位で折り返した。いまだ4回転は飛ばないが、流れるようなスケーティングに、柔らかく美しい身体の動きで観客を魅了した。15歳の若き女王ワリエワの下にも、次から次へと新たな才能が開花している。北京五輪の、その先も、きっとロシアがフィギュアスケートの女子シングル界を牽引していくのだろう。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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