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町田樹のスポーツアカデミア 【Dialogue:研究者、スポーツを斬る】 ~女性アスリート問題~ 東京大学医学部付属病院 能瀬さやか先生
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部ただ、産婦人科に進んだら進んだで、どこでどうやって女性アスリートに関わっていけばいいのか、どこで学べばいいのか分からなかったので、いろいろなスポーツという名の付く学会や研究会に顔を出していくうちに、少しずつ選手を紹介してくれるようにはなったんですけど、やはり月に1人2人見るだけでは、なかなか競技特性も分からないですし、アスリートの生活というか背景も分からないなという思いがずっとありました。そうしているうちに、2012年に現在赤羽にある国立スポーツ科学センターで内科の公募がでるので、受けてみないかというお声がけを知り合いの先生にしていただいて、内科ではありましたが、応募しました。そこではトップ選手のメディカルチェックをやっていますので、約700名の女子選手の現状を知ろうということで、色々な月経の問題、メディカルチェックの項目を拾って、課題を抽出したのがはじまりです。
そのメディカルチェックの項目を拾っていくと、トップ選手の4割が月経が規則的に来ていないとか、あとは月経困難症を抱えている選手がたくさんいたり、試合に向けて月経をずらすことすら知らない選手たちが66%くらいトップの選手でもいました。また、ホルモン製剤に対して、太るんじゃないかとか、将来妊娠できなくなるんじゃないかとか、色々な誤解があることが分かりました。はじめて選手を診察したときに、過去2回五輪に出場した選手で、2回とも月経が重なってしまって、パフォーマンスを発揮できなかったと選手に言われたときに、トップでもこういう状態かということですごく衝撃を受けました。メディカルチェックから拾った調査結果と、日々選手たちに触れる中で、私がやるべきことがあるんじゃないかと思って、女性アスリートの現状の把握からはじめて、調査研究に至っていきました。
M:普通、産婦人科とスポーツが結びつくイメージはないですけど、先生はそこに可能性をいち早く見出していたということですよね。でも産婦人科を志された頃は、スポーツの問題に取り組まれる産婦人科の専門医はいなかったと思うので、暗中模索という感じだったのかなと思います。
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