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【レビュー:全米フィギュアスケート選手権2021 女子シングル】ブレイディ・テネルが3年ぶり2度目の全米女王「この大会への準備にすべてを注ぎ、自信を深めました」
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部今シーズン練習拠点を変えたのも、これほど完璧なまでに仕上げてきたのも、ただタイトル奪還への強い思いを抱いていたからこそ。「この大会への準備にすべてを注ぎ、自信を深めました。大会に乗り込む段階で、自分が(練習で)毎日クリーンにプログラムを滑れていることは分かっていたんです。あとはただその場に出て、スケートを滑り、楽しむだけでした」
テネルはきっと心から楽しめたに違いない。フリーを滑り終わった直後の、晴れやかな表情がすべてを物語っている。
「重要なのはたどり着いた場所ではなくそこまでの過程である、とよく言われます。でも、たどり着いた場所も、なかなかいいものですね」
2位 アンバー・グレン SP5位70.82 FS2位144.50 トータル215.33
SP5位からの逆転劇。2014年の全米ジュニアチャンピオンが、21歳でついに全米シニア表彰台へ上った。本人曰く「完全なる衝撃」だったが、決してサプライズではない。
そもそもSPで5位と出遅れたのは、プログラム冒頭に大技トリプルアクセルにトライしたから。両足着地やダウングレード判定で大幅にスコアを失った。もしも2Aを成功させていれば、単純計算で3位に食い込んでいた。しかも勇敢に攻めた後、グレンはすぐに立て直すと、それ以降はノーミスで終えている。
FSでは精神力の強さをも証明した。この日は右足の炎症が膝まで広がり、抗生物質で抑えながら本番に挑んだという。「どうにか乗り越えなければならないと分かっていたので、プレッシャーなしで滑ることができました。かなり上手くいきましたよ」と大会後の記者会見でグレンはさらりと語ったが、決して簡単ではなかったはずだ。
つまり痛みの中であのフリーを演じきったのだと思うと、改めて感服する。3Aは封印し、2度の2Aを含むすべてのエレメンツをクリーンに揃えた。ミーシャ・ジーが振り付けたプログラム「レイン、イン・ユア・ブラック・アイズ」はすべての動作が流れるように紡がれ、しかも楽曲の盛り上がりと共に、グレンのスケートもどんどん力強さを増していく。
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