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フィギュア スケート コラム 2020年7月1日

【髙橋大輔選手スペシャルセレクション】世界と日本が連帯した愛に満ちた2011年大会。自身の円熟と、日本の未来・羽生の覚醒を見た2012年大会。

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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ISUフィギュアスケートアーカイブ 2012年 世界選手権 男子シングル #6


2012年世界選手権:円熟の髙橋、覚醒した羽生

いつまでも余韻に浸っていたい。残り香を楽しんでいたい。2011/2012シーズンの髙橋大輔が実現したのは、こんな「気持ちのいい」演技だった。

モチベーションを掻き立てるのに少々苦労した前シーズンから、意識を完全に立て直した。一度は世界の頂点に登り詰めたプライドさえ脱ぎ捨て、初心に帰り、スケーティングの基礎を復習した。表現力の幅をさらに広げるために、バレエのレッスンにも通った。

そして人生7度目の世界選手権直前に、26歳の誕生日を迎えた髙橋は、かつての燃えるような闘争心を取り戻していた。フランス・ニースで開催された同大会に向けて、自らを極限にまで追い詰めたとも言われる。

奮起の理由のひとつは、間違いなく、自らと同じく15歳で世界ジュニアを制した羽生結弦の存在。8歳8ヶ月年下の後輩が、「4回転をぽんぽん飛んでくる」積極的な姿勢に、髙橋は大いに刺激を受けた。

未来のチャンピオンの成長スピードのすさまじさに、脅威だって抱いたはずだ。年末の全日本選手権の直前には、羽生の台頭により、世界選への出場権争いがこれまで以上に難しくなるだろうと予言している。そのとおり、ショートを4位で終えた羽生は、この当時からすでに備わっていた勝負強さでフリー1位の好演技を披露。初めて全日本表彰台に立ち、初めての世界選行きを決めた。

大会のたびに、一分一秒毎に成長する。そんな17歳は、世界選手権の間でさえ進化した。いや、むしろ、覚醒と言おうか。ショートを7位で終えた翌日、フリーで演じた『ロミオとジュリエット』こそ、羽生結弦伝説の始まりなのだ。

演技前の恐ろしいほどの気迫には、すでに王者の片鱗がうかがえる。ステップ中の不意の転倒も、その直後の完璧なジャンプも、まるで羽生のドラマチックなキャリアそのもの。さらにはクライマックスの、ステップでの雄叫び……。観客をアドレナリンとエクスタシーの渦に巻き込みつつ、肩で大きく息をしながら、羽生結弦は最後の瞬間まで全身全霊で闘った。そしてカタルシス。ショート前夜に痛めた右足首への不安も、初めての世界選手権という大舞台へのプレッシャーも、すべてきらきらとした汗や涙になって流れさった。

ティーンエージャーの瑞々しい感性がほとばしったアリーナで、髙橋大輔は大人の魅力をたっぷりと振りまいた。『ブルース・フォー・クルック』の気怠いスローテンポに乗った、クールで澁い演技。肩から余計な力が抜けたような、スマートなかっこ良さ。じわりじわりと熱を帯びていくステップに、見る者は思い切り酔いしれる。

髙橋大輔2位、羽生結弦3位。日本フィギュアスケートの歴史に燦然と名を刻む2人の偉大なるスケーターが、世界選手権の表彰台に同時に上った。中央に立つのは1年前と同じパトリック・チャン。GP初戦のカナダ大会ショート3位を除いて、同シーズンここまで全滑走で1位を手にしてきた21歳が、完璧な形でシーズンを締めくくった。

文:J SPORTS 編集部

J SPORTS編集部

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