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【プレビュー:ロシアフィギュアスケート選手権2020 男子シングル】ジュニア時代から切磋琢磨してきたアレクサンドル・サマリンとドミトリー・アリエフ。若き二人がタイトルを巡り激突必至。
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部ならば今年のロシアナショナルで見えない壁を打ち破り、初の戴冠を成し遂げられるか。現在は4Fと4Tの成功率を上げるべく研鑽中。ジャンプばかりが注目されがちだが、スピンやステップでだってしっかりレベル4を取る。気迫のこもった力強い滑りはもちろん、近頃は表現力も磨かれつつある。サマリン本人が自己分析する通り、おそらく「最大のライバルは自分自身」だ。
豪快で雄々しいサマリンに対して、繊細で優美なアリエフもまた、きれいな4Lzを跳ぶ。詩的な表現力や深い憂いをたたえた佇まいだけではない。今GPシリーズの初戦スケート・アメリカのSPでは、サマリンに負けじと4Lz+3Tも成功させた。さらにFPでは4T+3Tという大技も披露した。
こうしてアメリカ大会で初めてのGP表彰台乗りを達成し、地元ロステレコム杯ではサマリンに次ぐ2位に入った。しかしその先に厳しい試練が待っていた。GPファイナルのFPは冒頭の4Lzこそ見事に決めたが、続く4Tで転倒。そこでどうやら足首を痛め……残りの約3分半は文字通りぼろぼろだった。トータルで転倒3回減点4。ジュニア時代にGPファイナルで優勝を遂げた3年後の、シニア初のGPファイナルは、失意の中で終えた。
果たして心身の痛みはしっかり癒えただろうか。ロシアナショナルへは絶対に万全の調子で臨みたい。トリノでは完成形を披露できなかったが、アリエフのFSのサウンド・オブ・サイレンスは、持ち前の滑らかなスケーティングを活かした美しいプログラムだ。
ちなみに2人揃ってGPファイナル表彰台を逃したせいか、母国メディアの論調は厳しかった。フランス人ケヴィン・エイモズが予想外の初表彰台に歓喜したが、フィギュアスケート伝統国にとっては、本来ならばロシア男子こそがヨーロッパ男子ナンバーワンであらねばならなかった。欧州選手権7連覇のスペイン人ハビエル・フェルナンデスが完全に競技を退いた今だからこそ……。しかも2018年世界選の好成績でせっかく10年ぶり以上に「男子3枠」を取り戻したというのに、たった1年で2枠に減らした反動も小さくない。
つまりサマリンとアリエフの若き両肩にのしかかるプレッシャーは、とてつもなく大きい。2人にとって、「優勝本命」として挑む今年のナショナルは、決して簡単ではないだろう。
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