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【プレビュー:ロシアフィギュアスケート選手権2020 女子シングル】フィギュアスケート界を席巻する新しい波。世界最高峰の戦いが幕を開ける
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部基礎点の極めて高い4回転ルッツを、シェルバコワはジュニア時代から軽々と跳んできた。昨ロシアナショナルでもFSの4Lz成功で、SP5位からの劇的な逆転優勝を決めた。今季9月のロンバルディアトロフィーでは、国際試合で4Lzを跳んだ史上初のシニア女子になった。そして10月のスケートアメリカでは、シニア女子としては史上初めて、1つのプログラムで4Lzを2本組み込んだ。
決して4回転だけではない。スピード感あふれる滑りや質の高いスピンもシェルバコワの持ち味だ。それでも12月のグランプリファイナルでは、さらに4回転の数を増やした。つまり4Lz2本に加えて、初の4F挑戦。残念ながら4Fは転倒に終わったが..もしも決めていたら、逆転優勝も不可能ではなかった。だからこそナショナルでは、2連覇目指して、改めて4F込みの難しい構成に挑んでくるに違いない。
一昨季にジュニアグランプリを制し、2年連続で世界ジュニアを勝ちとってきたトゥルソワは、今シーズンを4回転「2種類3本」でスタートさせた(初戦ネペラ杯、4Lz2本、4T1本)。続くスケートカナダとロステレコム杯では「3種類4本」(4S1本、4Lz1本、4T2本)に増やした。GPファイナルではなんと「4種類5本」(4F1本、4S1本、4Lz1本、4T2本)へと拡大。実際は4Sがすっぽ抜けて2Sになり、また4Tで転倒があったものの、男子でさえネイサン・チェンや羽生結弦しか挑戦できないほどの難しいジャンプ構成だ。なによりジャンプ基礎点が1.1倍となるプログラム後半に4回転を2回組み込むとは...!
表現力はいまだ発展途上ながら、「ロシアンロケット」の異名を取るトゥルソワこそが、3人の中では最もアグレッシブだと言われる。GPファイナルのショートプログラムでは3Aも初めて試みた。練習ではすでに成功している3Aを、ロシアナショナル本番できっちり降りることさえできれば、ライバル2人にとってはとてつもなく大きな脅威となる。
ところで今季のグランプリファイナルで表彰台を独占した3人は、世界歴代トータルスコアでもトップ3に並ぶ(1位コストルナヤ、2位トゥルソワ、3位シェルバコワ)。ご存知の通り、ちょうど1年前のロシアナショナルでも表彰台を分け合った(1位シェルバコワ、2位トゥルソワ、3位コストルナヤ)。
ただし1年前とは状況が異なる。つまり3人全員がシニアの国際大会への参加可能年齢(シーズン直前の7月1日時点で15歳以上)に達しておらず、ナショナル4位以下のシニア選手にヨーロッパ選手権と世界選手権への出場権が割り振られた昨季とは違うのだ。3人が揃ってシニアに転向した今季、他の選手たちがシーズン後半戦の大舞台へ駒を進める可能性は極めて小さい。2015年の欧州&世界チャンプのエリザベータ・トゥクタミシェワや、翌季から欧州&世界2連覇を果たしたエフゲニア・メドベージェワでさえ、おそらく表彰台争いに割り込むのは至難の業となる。
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