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フィギュア スケート コラム 2018年10月16日

【小塚崇彦のフィギュアスケート・ラボ】#1 シングル・ペア編 <前編>

小塚崇彦のフィギュアスケートラボ by J SPORTS 編集部
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小塚:じゃあ、トリプルアクセル+シングルオイラー+トリプルサルコウという呼び方になるんですね。4回転の繰り返しが、前までは2回までやってもよかったけれど今年から1回しかやっちゃいけないということになりましたけども、その理由というのは?

岡部:ネイサン選手はいろんな種類の4回転を跳べるんですけれども、中には2種類しか跳べない選手もいて。2種類の4回転ジャンプを2回繰り返すことによって、4回のジャンプのうち2種類のジャンプしか跳んでいないことになります。それもまたバランス的にはよくないんじゃないかと。選手には大変な負担だと思うんですけれど、4回転でもいろんな種類の4回転を跳ぶ、もしくは4回転に偏らなくても完成度の高いトリプルでもいいんじゃないかっていうことで、数に制限をかけてバランスをよくしたいっていう意図があります。

小塚:ISUとしては「なるべくいろんな種類のジャンプをまんべんなくいろんなところで跳んでください」というような意図があるってことなんですね。

岡部:はい、そのとおりです。完成度の高い演技をすることによってGOEを+5までもらえると、今まで以上に高い点数を得ることになるんですね。ですので、完成されたジャンプをしてくる可能性が高い、つまり失敗するリスクのあるジャンプはある程度入れてこないのではないか。ということは、それだけきちんとできているものを試合に入れてくるので、少しケガのリスクは減るかなというふうには考えています。

GOE 7段階→ -5~+5の11段階に

小塚:ではGOEの話をしていきたいと思います。GOEというものは「出来栄え点」なんですけれども。

岡部:はい。「Grade Of Execution(グレード・オブ・エクスキューション)」の略ですね。

小塚:これが、去年までは-3から+3までの7段階でしたよね?

岡部:今年からは、-5から+5の11段階になりました。

小塚:0も含めて11段階ですね。これによって、基礎点が少し下がったっていう話が先ほどありましたけれども、GOEが11段階になったことによって、何かジャンプや得点に影響してくるようなところというのはありますか?

岡部:まず、今まではGOEが1つ増える/減るごとに特別な計算の方法があって「GOEで1が付くと、このジャンプに対してこれだけ点数がアップします/減ります」っていうのがあったんです。けれども今年から始まるこの-5から+5は、基礎点に対して10%ずつ増減があるという。

小塚:なるほど。GOEが+1だと基礎点の10%増、+2だと20%増…っていう感じなんですね。

岡部:はい。で、最高で50%、つまり+5をもらうとその基礎点の1.5倍になります。同じように、マイナスも10%ずつ減っていきますので、-5になることによって50%減、つまり半分の点数になってしまう。半分の点数から1.5倍の点数、ジャンプ1個分まるまる変わってしまう。

小塚:おお~、じゃあずいぶん大きな変化になったんですね。ということは、GOEが7段階から11段階になって、しかも10%ずつ変化することによって、基礎点よりもGOEの点数を取る/引かれることで順位の変動が起こり得るようになったんですね。

岡部:そうですね。つまり、1つ1つのエレメンツでさえも完成度を高くしていくことによってさらに高い点数をもらえるというルールに変更したっていうのが、大きなポイントだと思います。例えば、転倒をしてしまうとか、両足で着氷してしまう、ステップアウトする、ダウングレードしてしまうといったような大きなミス/エラーをしたときには、GOEでは+2からしかスタートできないんですね。ジャッジが点数を出すときには、GOEについてはまずプラスの面を見てそこからマイナスのところを見ていくので、いろいろGOEのガイドラインに出ていますけれども、+3からスタートできるものであっても転倒することによって+2からしかスタートできないという。

小塚:うーん、なるほど。いろいろ要素を見ていって、まあ難しいステップ/入りから入っていったりとか流れだったりとかそういうものを見て「ああこれだったら+4や+3がつけられるな」というふうに思ったとしても、転倒やステップアウト、ダウングレードとかがある場合には、これは+2より上には上がらないということですね。

岡部:はい。最初のスタートが+2。で、そこから例えば(重大エラーに対して)-5をすることによって、結果的には-3になってしまう。そこも今までの考え方とちょっと違うところですね。

基礎点の変更

小塚:4回転の基礎点っていうのも変わったと聞いているのですが。

岡部:4回転だけではなくて、いろんなものの基礎点が変わりました。4回転の基礎点は少し低くなりました。この変更の大きな意味合いの裏側には、ジャンプというかテクニカル重視ではなく、やっぱりコンポーネンツとテクニカルとのバランスがいいものを目指す。つまり私たちは、コンポーネンツが50%でテクニカルが50%というものがバランスがいいと考えているんですね。しかし、ネイサン選手のようなトップ選手がものすごい数の4回転を入れてくると、テクニカルが55%でコンポーネンツが45%という感じで、少しバランスが悪くなるんです。

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