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フィギュア スケート コラム 2017年11月8日

アイスダンス上級編

木戸先生直伝!今からでも間に合うアイスダンス観戦講座 by 木戸 章之
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 当時のアイスダンスはステップの決まっているコンパルソリーダンス、リンクを周回するステップを製作するオリジナルセットパターンダンス、自由に振り付けを作れるフリーダンスの3つからなり、それぞれのカテゴリーで全体の出来を6点満点で採点するという方式であった。エレメンツに対する出来で採点をする方式ではなかったため、ジャッジ各々の価値観や主観、東西冷戦の影響がまるっきりなかったとは言えないだろう。当時のアイスダンスはソ連が1、2を占め、3番手にアメリカやカナダなどの北米勢、4番手から10番手の間に東西ヨーロッパの1番手が入ることが多かったというのが私のなんとなくの印象である。ペレストロイカやグラスノスチが始まり、ソビエトの社会体制が変わり始めた頃1988年ごろに、トービル&ディーン組の男性の方、クリストファー・ディーンが振り付けしたエキセントリックなフリーダンスが世界の注目を浴びることとなる。踊っていたのはデュシュネー姉弟。ターザンのような格好をしてトリッキーな動きを連発する動きは賛否両論巻き起こったが、この時期を境にアイスダンスには前衛的なモダンダンスの要素を取り入れられることも多くなってきたのである。一方で、こういった一連の流れはフィギュアスケートの基礎としてのスケーティングとバレエと社交ダンスの動きを基礎とするアイスダンスの流れを逸脱することとなり、スケーティング技術の基礎が徐々におろそかにされる傾向を作り出したことも否めない。
 1991年12月、ソ連共産党の解体、ソビエト社会主義共和国連邦が各共和国に分裂した。それに伴いソ連国内では大変な経済の混乱が生じたようである。私はちょうどこの時期にジュニアの代表として世界ジュニア選手権等の国際大会に出るようになった。当時のソビエト(1991年の世界ジュニア選手権はソビエトとして出ていた)、ロシア、ウクライナ、エストニア、ラトビア、リトアニア等の選手たちはボロボロのジーパンに穴の空いたセーターで国際大会に来ていたことを思い出す。氷に乗るとそれが一変、貴公子とお姫様のように美しく踊り出す彼らを驚きと羨望の混じった気持ちで見ていたことを思い出す。

 そんな状況の中、アメリカやカナダなどのスケートクラブはソ連の有名コーチや選手を破格の待遇で招聘することを始めた。ロシアやウクライナ国内のリンクが次々と閉鎖されていた彼らにとっては渡りに船であったろう。有力選手やコーチの多くがアメリカなどに渡り、練習用のリンクや生活費を提供されながら練習を続けたのである。その好環境が功を奏してか、1990年代はロシアの圧倒的な時代が続いた。世界選手権のみならず、他の国際大会(今でいうグランプリシリーズやチャレンジャーシリーズ)も含めると、ソビエト時代以上の強さであったと思われる。この時期は世界のトップ20くらいのカップルはほとんどが男性か女性のどちらかがソ連出身であるか、コーチがソ連出身かと言うほどで、ソ連の人が全く関わっていないカップルは皆無に等しかったのである。
 1998年の長野オリンピック終了後からロシアの覇権に陰りが見え始めた。クリロワ&オブシアニコフ組が世界選手権2連覇を成し遂げた後、怪我のために引退。その後、ロシアはフランスのアニシナ&ペーゼラやイタリアのフサーポリ&マルガリオ組などの陰に隠れがちになってしまった。
 2002年のソルトレークオリンピックはペアとアイスダンスは大揉めとなった。採点について、事前に談合があったと言うことで大スキャンダルが出てしまったのだ。おそらく、であるがこの事件がトリガーとなり、これまで演技全体の出来に対して6点満点で技術点と芸術点に分けた点数をつけていた採点方式が一気に変わることとなってしまった。新しい採点方式は以下の通りである。

 

 ・ 選手たちが組み入れるべき技はあらかじめルールで決められている。
 ・ ルールで規定された技は、これもルールによって決められた難易度によって基礎点が決まる(基礎点を決めるのは技術役員)。
 ・ 基礎点に対して出来栄えを審判員が採点しそれにより点数が増減する。この点数を技術点とする。
 ・ 演技全体は10点満点で定められた構成点(5つの要素について採点するので5コンポーネンツとも言う)を審判員がつける。
 ・ 技術点と構成点の合計で順位が決まる。

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