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フィギュア スケート コラム 2016年5月11日

ディケイドを彩るフィギュアスケーター達の形勢逆転 男子シングル編

フィギュアスケートレポート by Pigeon Post ピジョンポスト
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誰よりも薔薇が似合う唯一無二の存在
ジョニー・ウィアー(アメリカ)【2001-2012】

中性的な容姿と個性的な衣装、そして芸術性の高い演技で人気を集め、世界各地にファンクラブが存在する。ロシア人以外で唯一「ロシアを愛する賞」で表彰されるほどのロシア好き。
2004年から全米選手権を3連覇し、トリノ五輪SPでパーフェクトな『白鳥』を演じ2位となり総合5位入賞。2008年世界選手権では銅メダルを獲得した。
ウィアーは一般的ではない衣装やプログラムが多かったが、バンクーバー五輪シーズンは特に「ジョニーワールド」が炸裂。黒地に蛍光ピンクのアクセントが効いたボンテージ風コスチュームでSP『I Love You,I Hate You』を五輪の舞台で滑り、恍惚の表情を浮かべるウィアーがアップになった瞬間が脳裏に焼き付いている人も多いのではないだろうか。FSでは、静かで美しいノーミスの演技に会場はスタンディングオベーションとなる。だがその「ジョニーワールド」の得点は思ったように伸びない。ブーイングが起きた会場を諌め、真紅の薔薇の花冠と花束を抱えて穏やかな笑顔を浮かべるウィアー。あの歓声こそウィアーが求めていたものだったのかもしれない。

怪我に打ち克ち手にした頂点
エヴァン・ライサチェック(アメリカ)【2004-2013】

長身と長い手足を生かしたダイナミックな演技や『カルメン』に代表されるような情熱的な表現力を持ち味とし、スピン・ステップも正確で確実にレベルを取ることができる。黒い衣装が多いためか、「ライサチェック=黒」というイメージを抱くスケートファンも多い。
2005年世界選手権初出場で銅メダルを獲得するも、トリノ五輪シーズンはコンディションに悩まされるシーズンとなる。苦しみながらもトリノ五輪では総合4位に入り、世界選手権では2年連続の銅メダリストとなるが、その後も怪我がジャンプに影響するシーズンは続く。母国開催の2009年世界選手権では武器としていた4回転を構成せず、SP2位・FS1位となり初優勝。そこからトップに返り咲いた。バンクーバー五輪も4回転を封印して挑み、完成度の高い演技でSP2位から逆転を果たし、見事金メダルを獲得した。

座右の銘は「ブタだって空を飛べる」
ジェレミー・アボット(アメリカ)【2005-現在】

「ただ滑っているだけでいい」と思える心地の良いスケーティングと繊細で美しく丁寧な表現力を兼ね備えている選手。シングルと並行してカップル競技にも取り組んでいた。ジャンプ中の表情については、小塚崇彦と双璧をなす。
大躍進の2008-2009シーズン、初出場のグランプリファイナルでアメリカ男子初の優勝、全米選手権でも初優勝を飾る。
以降、全米王者に2度輝きながらもジャンプに苦しみ、ソチ五輪代表選考会は劣勢で迎えた。その2014年全米選手権で4回転も決めて優勝し、2度目の五輪出場を決めた。ソチ五輪では、SP冒頭の4トゥループで転倒し壁に激突するアクシデントに見舞われる。しかしアボットの代表作となったFS『エクソジェネシス:交響曲第3部』では、出場選手中唯一出来栄え点でマイナスを受けない演技で滑り切り、感動を呼んだ。また、現役最後の試合として日本開催の世界選手権にも出場し、FSでは4トゥループを着氷。スケールが大きく美しいスケートに観客は酔いしれ、惜しみない拍手を送った。(その後、引退は撤回している。)

いぶし銀のスケーティング
小塚崇彦(日本)【2006-2015】

滑らかで無駄や癖のないスケーティング、ディープエッジ、正確な技術を持っている日本フィギュア界のサラブレッド。彼のバッククロスやイーグルでご飯を何杯も食べられるというスケートファンも少なくない。インスタグラムでタグを多用することでも知られている。
シニアに上がり堅実に日本男子の世界選手権の枠取りに貢献し、初出場のバンクーバー五輪ではFSで両足着氷ながらも降りた4回転が認定され、五輪日本男子代表として本田武史以来史上2人目となる快挙を達成し、8位入賞を果たした。翌シーズンの2010年全日本選手権の初優勝は、史上初の全日本親子制覇となった。東日本大震災によりモスクワにて代替開催となった2011年世界選手権FSでは、完璧な演技で自己ベストを更新。4回転を含む全てのエレメンツで1点以上の出来栄え点がついた。自身初、日本男子史上4人目となる世界選手権メダリストに輝いた。
しかし、2012年全日本選手権で表彰台を逃して以降、のちに先天性の股関節の疾患によるものと判明する怪我に悩まされるようになる。なかなか思うような成績が残せないソチ五輪シーズン、五輪代表選考会の全日本選手権で3位となるも代表には選ばれず、燃え尽き症候群のようになったという。そんな中2014年全日本選手権FSで見せた渾身の『Io Ci Saro』はファンの記憶に永遠に残る演技となったのではないか。
今年の3月に引退を表明し、先日アイスショーで現役最後の演技を披露した。彼ほどのスケーティングの持ち主が一旦は氷上を去ってしまうという事実は、国内外の多くのスケートファンに衝撃を与えた。

超絶技巧のスケーティング
パトリック・チャン(カナダ)【2006-現在】

ジャンプ・ステップ・スピン、全てのエレメンツを高い質で遂行できる技術を持ち、特にスケーティングについては、瞬時にトップスピードに乗り自由自在に氷上を駆け抜けていくため、まるでモーター付きの特別な靴で滑っているのではないかと思わせるほどである。唯一の鬼門は3アクセル。
チャンが世界のトップの舞台に登場したのは2007-2008シーズン。カナダ選手権3連覇で迎えたバンクーバー五輪では5位入賞し、2010年世界選手権では2年連続銀メダリストとなる。
過去に「4回転は必要ではない」といった趣旨の発言をしていたチャンだが、コーチ変更後4回転の習得に励み、2010-2011シーズンは破竹の勢いで勝ち進む。2011年世界選手権では計3回の4回転を成功させ、SP・FS両方でワールドレコードを更新。総合得点で2位以下に20点以上の差をつける圧巻の演技で初優勝を果たす。
翌年の世界選手権で2連覇を遂げるが、コーチングスタッフのモダンバレエの指導者をメインコーチに据えて表現力の強化を図り、振付師を一掃するという決断を下す。2013年世界選手権では3連覇を達成。
ソチ五輪シーズン序盤にもワールドレコードを叩き出し、チャンの天下が続くかと思われたが、グランプリファイナルで優勝を逃したあたりから雲行きが怪しくなっていく。ジャンプに失敗したソチ五輪は、金メダルがチャンの手からすり抜けていった。
2015-2016シーズンから競技に復帰。8度目のカナダ王者となり臨んだ四大陸選手権FSでは、4トゥループと3アクセルを2回ずつ入れ、復帰前よりも高難度のプログラムを見事に滑り切った。自身が「人生最高」と評したその演技は史上3人目で200点台をマークし、逆転優勝を果たした。

進化し続ける五輪王者
羽生結弦(日本)【2010-現在】

内に秘めたる闘志や想いを全身からほとばしらせて演技する、パッショネイトファイター(アスリート)。2種類の4回転を標準装備した高難度プログラムとそれを支えている鉄板の3アクセル、柔軟性を生かしたスピン。既に高い技術力を有するSP・FS両方のワールドレコード保持者であるが、常に高みを目指し続けている。イヤホンマニア。
エポックメイキングとして外すことができないのは、羽生自身が被災者ともなった東日本大震災後のシーズン、2012年世界選手権初出場銅メダルに導いたFS『ロミオ+ジュリエット』だろう。羽生が次々と決めていく美しいジャンプに観客は目を奪われ、その気迫溢れる姿に心を奪われていく。いつの間にか羽生への声援は地鳴りとなり、会場はまるでロックコンサートさながらの興奮に包まれていた。あの演技の全てが美しいとは言えないかもしれないし、今の羽生と比べると技術的にも未熟には違いないのだが、感情をむき出しにしたあの演技に感動しなかった者はあの会場に一人もいなかっただろう。
同様の感想を抱いたのがソチ五輪シーズンのグランプリファイナルで見せたFS『ロミオとジュリエット』だった。それまでチャンの後塵を拝していた羽生が、SPのワールドレコードを更新し、FSでも自己ベストを大幅に更新して完全優勝を果たしたあの試合は、羽生にとってもそしてチャンにとってもターニングポイントとなった試合だったのではないだろうか。
ソチ五輪では、日本男子初となる金メダルを初出場で獲得し、続く世界選手権でも初優勝。翌2014-2015シーズンに起きた数々の出来事については他に譲って、3つ目の突き抜けたポイントとして取り上げるべきは、2015-2016シーズンに見せた2度のワールドレコードの更新だろう。
シーズン前半のNHK杯では、2年目のSP 『バラード第1番(ショパン)』を4回転2回の高難度構成に変更して挑み、凄みすら感じさせる演技を見せ、ソチ五輪で羽生自身がマークした得点を更新。和の表現に取り組んだFS『SEIMEI』でも、1つ増やした4回転3回を含む全てのジャンプに成功。別次元の演技で、FS200点台・総合得点300点台となる前人未踏の領域へと足を踏み入れる。さらに驚くべきことは、2週間後のグランプリファイナルでもSP・FS両方を更新する異次元のパフォーマンスを見せたことだろう。
シーズン最後に世界王者奪還とはならなかったが、羽生が現在の男子シングルをけん引する存在であることには誰も異議を唱えないだろう。五輪連覇という最終目標を掲げてさらなる進化を求める五輪王者が見つめる先には、どれほど突き抜けた世界が待ち受けているのだろう。

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