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フィギュア スケート コラム 2013年3月4日

世界ジュニア選手権2013、表現力と美しいスケーティングが勝負のカギ

フィギュアスケートレポート by 野口 美恵
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ISU世界ジュニア選手権2013(2月27日~3月3日)が、イタリアのミラノで行われました。日本からは宮原知子が7位、本郷理華が9位、男子は宇野昌麿が7位、日野龍樹が10位とそれぞれ健闘。男子はアメリカが、女子はロシアが表彰台を独占するというジュニア層の厚さを感じさせる大会となりました。

女子はロシア勢の逆転劇に注目

女子は、ロシア勢の華麗な演技に注目です。ロシア国内選手権でアデリーナ・ソトニコワを抜いて銀メダルを獲得した、エレーナ・ラディオノワは新たなロシアの逸材。ショートでは珍しく、ジャンプにミスがあり5位発進となりますが、ここから金メダルを勝ち取ったフリーの演技は圧巻でした。

トップジュニア選手に必須の「3回転+3回転」の連続ジャンプはもちろんのこと、すべてのスピン、ステップでも最高のレベル4を獲得し技術力は抜群。しかし何とっても会場を沸かせたのは、その演技力とスケーティングの美しさです。「And Finally I Love You」「Country of Deaf」という美しいバラード調の曲に合わせて、大人びた優雅な滑りで、才能を感じさせました。ジュニアの選手は、まだ蹴って蹴ってスピードを出す選手が多いなかで、ラディオノワ選手は正確なエッジに乗り、一歩一歩の伸びやかさをアピールする玄人の滑りが魅力です。

また11月末に怪我をして競技を休んでいたユリア・リプニツカヤも復帰戦。シニアのGPファイナルやロシア国内選手権でその演技を見られなかっただけに、彼女特有の凛とした期待が集まりました。ショートは「人生でこれまでにないほど緊張した」といい、ジャンプミスがあり4位発進。しかしフリーでは本領を発揮します。脅威の柔軟性は健在で、最後の2つのスピンでは、脚を背中側から持ってくるキャンドルスピン(ビールマンの変形)と、完全に体がと直線になるI字スピン行い、演技の最後を盛り上げました。

また、表彰台は逃したものの、サマンサ・シザーリオ(米国)の美しい強さが溢れる「ブラックスワン」や、宮原知子の切ないニュアンスが体中からあふれ出るような「ロミオとジュリエット」は、会場から大きな拍手を受けました。

美しい滑りが光った男子

男子はやはり、アメリカの3選手の演技は必見です。特に、昨年2位のジョシュア・ファリスと3位のジェイソン・ブラウンの対決は目が離せないものとなりました。

ファリスは今季すでに4回転を成功させ、トリプルアクセルはほぼ完璧。ブラウンはまだ今季初めてトリプルアクセルを跳べたばかりで、ジャンプ力では1歩も2歩もファリスがリード。しかし試合当日となると、波乱は起きるもの。ショートの6分間練習ではすべてのジャンプをミスしてしまったファリスと、会場入りしてから絶好調を維持しているブラウンが、それぞれの本番力試しとなったのです。結果は2人ともにトリプルアクセル2本成功でしたが、それぞれの成長を示した内容でした。

またジャンプ以上にこの2人の見せ場は、ステップシークエンスの対決。ショートはファリスが「チェロ協奏曲」にあわせて、静かな中に美しさが垣間見えるようなステップを披露。レベル4に+1.2と高評価を得ました。一方のブラウンは、フリーで力を発揮。「愛の夢」の優雅な旋律にのり、ウィンドミル(体を上下逆さに1回転する技)など派手なパフォーマンスと、外へ外へと訴えかけるような感情表現が合わさり、感動的なステップシークエンスを見せます。こちらはレベル4に+1.4で、ステップだけならブラウンに軍配が上がったと言えるでしょうか。いずれにしても持ち味の違う2人が、それぞれの世界観を発揮した大会となりました。

またアメリカの大森勝太朗は、両親が日本人。日本語も少しは話せるものの、演技は日本人ばなれした感情的なパフォーマンスで会場をひきつけます。まだスケーティングそのものは成長過程ですが、上半身の柔らかい使い方や、ちょっとした顔の向きで感情を表すところなど、踊りのセンスを感じさせてくれます。ジャンプもトリプルアクセルの安定度が高く、今回はショート、フリーで1本ずつ成功させ、初出場での表彰台を掴みました。

そのほか、宇野昌麿はトリプルアクセル無しでも、リズム感のいいパフォーマンスで会場を沸かせ、マイケル・クリスティン・マルチネス(フィリピン)は女子顔負けの美しいビールマンスピンで魅せます。ブライアン・オーサーに師事しているナム・イングエン(カナダ)の音楽と一体になった踊り、アレクサンドル・サマリン(ロシア)の雄大な「3回転+3回転」は必見です。

野口 美恵

元毎日新聞記者。自身のフィギュアスケート経験を生かし、ルールや技術、選手心理に詳しい記事を執筆している。日本オリンピック委員会広報としてバンクーバーオリンピックに帯同。ソチ、平昌オリンピックを取材した。主な著書に『羽生結弦 王者のメソッド』『チームブライアン』シリーズ、『伊藤みどりトリプルアクセルの先へ』など。自身はアダルトスケーターとして樋口豊氏に師事。11年国際アダルト競技会ブロンズⅠ部門優勝、20年冬季マスターゲームズ・シルバー部門11位。

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