【フィギュア欧州選手権レポート】 男子フリースケーティング公式練習

2012年欧州選手権6日目となる28日朝、男子フリーの公式練習が、シェフィールドの「モーターポイント・アリーナ」で行われた。氷点下２度と身の引き締まる寒さのなか、選手達は早朝から熱い練習を繰り広げた。

ショート10位のブライアン・ジュベール（フランス）、11位のサミュエル・コンテスティ（イタリア）は第３グループでの滑走。ジュベールは26日のショー後に「今日は３つのジャンプともドジったので、フリーは８つともミスするかも」と発言するなど、かなり落ち込んでいたが、フリーの公式練習では果敢に４回転トウに挑んだ。最後までクリーンな着氷はなかったが、３回転トウを何度も跳んではコーチと話し合い、踏み切りのフォームを確認している様子。３回転フリップ、ルッツ、トリプルアクセルの調子は良かった。フリーでは気持ちを切り替えた演技を期待したい。

最終グループの練習は、４回転とトリプルアクセルの応酬合戦となった。練習開始からわずか６分で、アルトゥール・ガチンスキー（ロシア）が４回転トウを跳び始めると、エフゲニー・プルシェンコ（ロシア）も４回転トウ＋３回転トウを決める。続いてハビエル・フェルナンデス（スペイン）がトリプルアクセル＋３回転トウ、数秒後にはトマーシュ・ヴェルネル（チェコ）がトリプルアクセル、フローラン・アモディモ（フランス）もトリプルアクセル＋３回転トウ、と続く。練習開始10分後には、練習を見に来た観客や関係者の拍手が止まらないほどだった。

曲かけ練習では、ベルネルが軽快なステップを披露した。トリプルアクセルや３回転＋３回転も次々と決め、ジャンプはかなり好調。スピードとパワーのあるスケーティングで、ひときわ目に留まる練習ぶりだった。続いてプルシェンコは、曲かけはほとんど踊らず、すでに調整は必要ないといった落ち着きぶり。４回転トウを３本降りると、練習開始からわずか20分でリンクを後にした。

ミハル・ブレジナ（チェコ）は冒頭のトリプルアクセルで手を着いたが、ステップやスピンなど演技全体の仕上がりは良く、持ち前のエッジワークを存分に見せた。曲かけ後は、４回転サルコウの練習に終始。ほとんど３回転で降りてしまっていたが、「４回転を練習してきた」という意欲は、手に取るように観客席にまで伝わってきた。ガチンスキーは、曲かけではジャンプを入れなかったが、４回転トウ＋２回転トウ＋２回転トウや、４回トウ＋３回転トウ、トリプルアクセルなどの大技何度か確認すると、プルシェンコに続いて、30分たたないうちにリンクを降りた。

フェルナンデスは、トリプルアクセル＋３回転トウの確立がかなり上がり、調子は上向き。４回転トウは、軸が斜めになり両足着氷すると、その１本きりで、後は練習しなかった。何度もムキになって練習して悪いイメージを残すよりも、普段の練習でのイメージを信じようという作戦。リンクサイドで、ブライアン・オーサーコーチから長い時間アドバイスをもらっていた。アモディオは、軽快な音楽に合わせたキレのあるダンスを披露し、早朝からテンションを上げての練習。トリプルアクセル＋３回転トウのほか、ジャンプ全体の軸が細く、身体の調子はかなり良さそうだった。

男子ショートの会見では、プルシェンコとガチンスキーのコーチであるアレクセイ・ミーシンが「４回転ジャンプを跳ばない男子は、男子シングルダンスという別のカテゴリーにした方がいい。男子は４回転ジャンプが一番の魅力だ」と発言し、他の選手を挑発する場面もあった。それぞれの選手の４回転ジャンプの行方はいかに。注目の男子フリーは、28日11：55（日本時間20：55）から行われる。