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■スイス――ランビエールの後継者探し
世界選手権2回優勝(2005年、2006年)にしてトリノ五輪銀メダリスト、なによりスイス国内戦選手権「実質」9連覇(一時引退を表明していた2008年は不出場)のステファン・ランビエールが、競技会人生に終止符を打った。長らくランビエールの「2番手」を務め、国際大会の経験を積んできたジャマル・オスマンも、リンクを離れ学業復帰を宣言。スイス男子は、突然の世代交代を強いられている。
12月末のスイス選手権で、男子シングルス初優勝を飾ったのは21歳のミカエル・レディンだった。「ランビエール引退でようやくトップの場所が空いた!」と語った通り、過去2年連続で国内3位に終わってきた彼にとっては順当な勝利。レディンは来るヨーロッパ選手権には参加せず、代わりに3月に日本で開催される世界選手権代表に内定している。世界選出場は2009年大会に続く2度目。「もしもフランスに残っていたら、こんなチャンスは来なかっただろうなぁ……」。
そう、レディンはフランス出身であり、今でもれっきとしたフランス人である。
現在はスイス在住で、2006年以降スイス連盟に登録して競技活動を行っているが、実際のところ未だにスイス国籍は保有していない。つまりレディンはISU国際スケート連盟が主催する競技会においては「スイス代表」の一員となることが可能なのだが、IOC国際オリンピック委員会の制定する五輪憲章に従えばオリンピックでスイス国旗を背負うことは出来ない。レディンが3年後の冬を考えるならば、いずれスイスパスポートの申請(フランス・スイス間では二重国籍取得が可能)が必要となってくる。ちなみに今年のスイス選手権で5位になった期待の18歳、トミー・プルキネンはフィンランド出身だがすでにスイス国籍を取得済み。
昨季のランビエールの活躍のおかげで、今季のスイス男子は欧州選手権に出場権「3」を有している。その枠にはナショナル2位ローラン・アルヴァレズ、3位ステファン・ウォーカー、4位モリス・ファイフォーファーの3選手が送り込まれる。ジュニア時代から現在まで特に国際的には目立った成績を上げていない3選手が、地元の声援を受けてどこまで成績を伸ばすことができるか。
また女子に関しては、過去2回欧州表彰台に上がっているサラ・メイヤーが国内選手権は負傷欠場したが、1月末に向けて復活調整中。欧州選手権開催国のメダルの期待を一身に背負うことになる。共に戦うロミー・ビュラーは16歳。コストナーとキム・ヨナに憧れているという少女は、2年連続世界ジュニアに出場してきたが、今季初めてシニアの欧州選手権へと挑戦する。そして、スイス選手権女王のベッティーナ・ハイムは世界選手権のスイス代表に内定している。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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