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フィギュア スケート コラム 2010年2月24日

【フィギュアスケート】五輪後、男子シングル失意の欧州選手たち

フィギュアスケートレポート by 宮本 あさか
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五輪のフィギュアスケートもペアと男子が終了しましたが、欧州勢は期待していたような成績が出せませんでした。特に男子シングルは(金)メダル候補が3人もいたと言うのに、最終的には銀メダルがひとつだけ……。ただし3人それぞれに敗北の原因や失望感は違うようです。

◆プルシェンコ(ロシア)

大会前にロシアが掲げた目標は「男子プルシェンコは金メダル、ペアは表彰台」でしたが、いずれも叶わず。プルシェンコ銀、ペアの川口&スミルノフ組は4位という結果に終わりました。しかも男子は1992年以来6大会連続の、ペアにいたっては1964年以来13大会連続の金メダル(ソビエト時代含む)を逃したわけですから、失望は大きかったに違いありません。

それでも、プーチン大統領がプルシェンコに対して「君の銀は金に値する」と電報を送り、労をねぎらいました。またロシアフィギュアスケート連盟会長も「川口&スミルノフを強化リストから外すなんてありえない。川口にロシア国籍を取ってもらったのは、単にバンクーバー五輪のためじゃない。ソチ五輪まで行って欲しいから」と、五輪初体験を終えた2選手の未来に期待を寄せています。

もちろんプルシェンコ本人は「銀」に大いに不満な様子。やはり要点は、大会前から、いや、復帰直後から繰り返し言ってきた4回転ジャンプです。「たとえばショートプログラムに、ボクは4回転3回転のコンビネーションを組み込んだ。でもライサチェクはトリプルしかやらなかった。それなのにジャッジによれば、その部分に関するボクのリードは3ポイントのみ。本当に理解できないよ。もちろんライサチェクは素晴らしいスケーターだ。でも彼は4回転を入れなかった。4回転を飛ばないなんてありえない」。

極めつけの言葉は「ボクらはフィギュアスケートをしているのであって、ダンスではない」。

今回の五輪で「勝つためには4回転が必要」という結論がでるのかな、と思われましたが、結局のところ「リスクを犯さず。4回転は特に必要ない」という流れは変えられなかったようです。プルシェンコは3月の世界選手権には出場したいとの考え。また2014年ソチ五輪まで現役続行を決意しています。

◆ジュベール(フランス)

こちらも大会前に「男子は金メダル」を希望していましたが、なんと……!期待のジュベールが大崩。表彰台どころか16位という散々な結果に終わってしまいました。むしろフランス将来の希望の星、未だ19歳のアモディオのほうが、12位と健闘したほどでした。とにかくプルシェンコと共に「4回転至上主義」を訴えていたジュベールが、その4回転で失敗したのですから。

それにしてもフリーの朝、練習中にリンクで泣いてしまったほど、ジュベールにとっては辛い五輪となりました。フリー中はただ「早く終わってくれ」と願っていたとのこと。こんなジュベールは、2007年に世界チャンピオンタイトルを取ったあと、どんどん思い上がってしまったのが敗因だと考えています。「自分で全てがコントロールできると思い込んでいた。周りの助言など何も聞かなかった。この2年間、ボクの態度は最悪だった。攻撃的だったし、常にイライラしていた。でもボクは人生のことなど何も分かっていなかった。ボクを愚か者だと思う人々もいるだろうけど、彼らは正しいよ」

フリー直後に、リンクサイドでこんな告白をしたジュベール。すぐにフランスへ帰り、2、3日ゆっくり休んで、また練習を再開するそうです。スケート連盟も「ジュベールを救わなければならない。今こそ変身のときだ。彼はさらに大きく成長することができる」と手を差し伸べることを約束しています。3月の世界選も調子がよければ出場するつもり。

「ボクはフィギュアスケートが好きで好きでたまらない。スケートはボクの人生だ。リンクに再び立てば、気分も良くなるさ」

◆ランビエール(スイス)

開会式では旗手を務めたほど、国を代表する選手として注目されていたランビエールは、表彰台にあと1歩及ばず4位終了。「ジャンプを飛ぶたび、ただ立っているためだけに大量の体力を消耗した。エネルギーが足りなくて、最高の状態でパフォーマンスを披露することができなかった」と体力不足が大いに悔やまれるところですが、本人はさらに自らにプレッシャーをかけすぎたのも敗因だと分析しています。

「リンクに入ったとき、『ボクにはミスが許されないんだ』とそんな考えにとらわれてしまった。演技の間中その考えが頭から離れなくて、卵白をフワフワに泡立てようとがんばっているのに全然泡立たない、そんな気分だったよ」。今季の唯一の目標は五輪だったため、3月の世界選手権は不出場。さらに気になる現役続行問題については未定のまま。

「残念ながらハッピーエンドでは終わらなかった。でも自分のキャリア、自分のたどってきた道には誇りを持っている。後悔はまるでない。これでキャリアが終わりかどうかは、今は何もいえない。もしかしたら再び新たなスタートを切るかもしれない。しばらく様子を見るよ」。

ランビエールの頭の中で確定していることは、五輪後はゆっくり眠って、スキージャンプを応援に出かけて、自分でもスキーに行くこと。それからアイスショーへも複数出場します。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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