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後半に入ると日本代表は攻撃をテンポアップ。SH阿部恵が素早く仕掛け、FL齊藤がラックサイドを抜け出すなど、早めにゲインラインを突破するプレーを増やした。「苦しい時間帯のなかで、後半入ってきたメンバーがモーメンタム(勢い)を作り出してアグレッシブに前に出てくれた」(南早紀キャプテン)という言葉通り、キック力のある山本実、オーストラリアのブランビーズで腕を磨いたPRラベマイまこと、ジャッカルクイーンのFL鈴木実沙紀、スクラムの強いPR左高裕佳ら経験豊富な選手が勢いを作り出した。
磯貝美加紗
後半24分、日本代表は流れるような連続攻撃を見せる。南アフリカ陣に少し入った右端のスクラムからのアタックで、SO今釘とブランビーズでレギュラーポジションを勝ち取ったCTB古田真菜がシザースで前に出る。FW陣がボールを前に運んだあと、初キャップのWTB磯貝美加紗が右タッチライン際を駆け抜けてゴールに迫る。続いてラベマイ、左高、鈴木らが密集サイドをついて、最後は齊藤が2つ目のトライをあげた。これでスコアは12-6。29分、山本がPGを加えて、15-6と突き放した。その後、南アフリカ代表に攻め込まれたが、古田のタックルから今釘がジャッカルを決めるなど、ディフェンスで粘り、南アフリカ代表との初対戦を制した。
2トライの齊藤は、「ディフェンスでボールを取り返す準備をしてきたので、勝ち切ることができました。ワールドカップ前に世界トップクラスのフィジカルを感じることができてよかった」とコメント。5年ぶりのテストマッチが実現したことに感謝の言葉を述べた上で、最後は「熊谷の試合を見に来てください」と観戦を呼び掛けた。
2019年、日本で開催された男子のラグビーワールドカップでも、日本代表の最後のテストマッチシリーズは釜石でのフィジー代表戦勝利で始まった。験(げん)のいいスタートを切った女子日本代表は、7月30日、熊谷ラグビー場で南アフリカ代表との第2戦に臨む。ぜひ、多くのファンの皆さんに会場で、映像で、サクラフィフティーンの戦いを後押ししてもらいたい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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