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ジャパンラグビーリーグワン2022ディビジョン1
【プレーオフ決勝 ハイライト】東京サンゴリアス vs. 埼玉ワイルドナイツ
東京SGの苦戦の要因の一つはラインアウトだ。「毎回、(こちらも)ジャンパーが飛ぶ。スチールできなくても、飛ぶことで相手のフッカーはプレッシャーを感じるものです」(埼玉WK・坂手淳史キャプテン)。東京SGは前半だけで4度ボールを失った。ボールを確保できてもその後の攻撃でミスが起きる。セットプレーの不安定さが、攻撃的スタイルを披露する機会を少なくしてしまっていた。
後半は埼玉WKもタッチキックが短くなるなど、ミスや反則で苦しむ時間帯があった。後半12分、17分にマッケンジーがPGを決めて、10-9の1点差。山沢もPGを返すと、マッケンジーもPGを決めて、後半26分で13-12。まさに「ファイナルラグビー」が展開される。勝敗を決定づけたのは、後半30分あたりのスクラムだった。ハーフウェイラインからやや東京SG陣に入ったスクラムで、東京SGがボールを出そうとした刹那、埼玉WKは「第二波」と言うべき猛プッシュで押し込んだ。判定は、東京SGのペナルティ。このPKからタッチキックを選択した埼玉WKは、ラインアウトからの攻撃でライリーがゴール右端にトライし、18-12とリードを広げた。
最後の10分の戦いも我慢比べになったが、埼玉WKが東京SGのトライを許さずに勝ちきり、リーグワン初代王者に輝いた。PR稲垣啓太は「シーズンを通して調整が難しかった。我々だけではなく、ファンの皆さんもそうでしょう。その中でたくさんの観客に集まっていただき、いい終わり方ができて最高です」と喜びを語った。「80分間を通して、反則を少なくし、相手の反則を誘うのが我々のテーマでした。きょうはそれができたと思います」。反則数は、東京SGが8、埼玉WKが6だった。
埼玉WKの坂手淳史キャプテンは、チームの強さついてこう語った。「みんなが自分の役割を果たせるプロフェッショナルなチームです」。各選手の責任感あるプレーは、ディフェンス面でよく発揮されていた。試合中に棒立ちになっているような選手は皆無で、常に組織の中で機能しようと動き続けていた。タックルしてすぐに起き上がって次に備えるときもあれば、人数をかけて一気にターンオーバーを狙うこともある。瞬時の判断も的確だった。実は準決勝の最後の10分間に4名の負傷者が出ていた。そのため、PR藤井大喜が昨年のチーム加入後初先発。FW第一列の3人を一気に交代させるのが最近の必勝パターンだったが、クレイグ・ミラーの怪我で稲垣がフル出場でスクラムを支えた。選手層の厚さ、戦略・戦術の浸透度も含め、チームとしての底力を感じる優勝だった。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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