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いずれもFW戦、とりわけセットピースを軸にゲームを組み立てるチームだけに、スクラムとラインアウトでどちらが優位に立てるかが、この試合の趨勢を左右するポイントになるだろう。ともにゴール前でのラインアウトモールが大きな得点源となっており、いかに射程圏内へ入る回数を増やせるかも重要なテーマとなる。その点ではルーカス、マッガーンとフォーリー、FBゲラード・ファンデンヒーファーの蹴り合いも、この一戦の見どころのひとつだ。
実施試合数が違うため単純に比較はできないものの、インプレーにおけるキック数はブラックラムズの59本(1試合平均19.6本)に対しスピアーズは103本(同25.7本)。ラインアウト成功率はスピアーズが95パーセントとリーグ随一の高い数字を残しており、82パーセントのブラックラムズを上回っている。ホストチームのブラックラムズにすれば、キッキングゲームで先手をとっていいエリアで試合を進めることが、勝利の条件となる。
ブラックラムズ東京 スターティングメンバー
発表された登録メンバーを見ていくと、ブラックラムズの前節ヴェルブリッツ戦からの先発変更はひとりだけ。FLで出場した柳川大樹がタラウ・ファカタヴァに替わってLOに上がり、ブレア ・カーワンが6番に入った。スコットランド代表やロンドン・アイリッシュで確かな実績を残してきたハードワーカーのカーワンと、接点で強さを見せるFL松橋周平、セブンズ代表から復帰し絶好調のNO8ボークコリン雷神という並びは第1節以来。スピアーズの重量パックに対し、このバックロー3人がどのように対抗するかが注目される。
クボタ
一方スピアーズの変更はPR山本剣士、WTB根塚洸雅、CTBテアウパシオネの3人。リザーブから昇格の山本が左PRの位置に入り、前節1番の北川賢吾は3番に移って出場する。法政大学から昨春加入した根塚は、公式戦初出場での初先発だ。東海大仰星高校時代から卓越したラインブレイク能力を発揮してきた天性の走り屋が、SOフォーリー、CTB立川、テアウパ、FBファンデンヒーファーとそうそうたる顔ぶれが並ぶBKラインでどう存在感を示すか、興味深い。
なお、両者の2010年以降の対戦成績ではスピアーズが5勝3敗と勝ち越しており、最後に公式戦で顔を合わせた2018シーズンのトップリーグでもリーグ戦(22-16)、7位決定戦(30-26)ともにスピアーズが勝利している。現在2位のスピアーズにすれば、トップ4の地盤を固められるかという大事な一戦。黒星がひとつ先行しているブラックラムズにとっても、勝敗をイーブンに戻して浮上のきっかけをつかみたい重要な試合だ。熱戦を期待したい。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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