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ラグビー 関東大学対抗戦2021
【ハイライト】筑波大学 vs. 慶應義塾大学
大畑のスピードも見事だが、この日の主役は卓越したランニングスキルで大畑にパスを送った松永だった。松永は33分、約35mのドロップゴールを成功させ、17-12とする。前半終了間際、筑波大は慶大の20フェイズ以上の連続攻撃を粘り強く耐えと、慶大のミスボールを大畑が足に引っ掛け、ぐんぐん加速して慶大のディフェンダーを振り切る。大畑は再度ボールを蹴ると、うまくバウンドを合わせて拾い上げる。そのままトライかと思われたが、ゴールライン直前、タックルで倒されてしまう。1年生にそうやすやすと2トライを与えるほど対抗戦は甘くない。そう思ったかどうかは別にして、ここに走り込んだのは、もしものためにサポートしていた松永だった。大畑は倒されながらも松永を確認してパスを出し、勝利を大きく近づけるトライが生まれた。
筑波大学 vs. 慶應義塾大学
筑波大は前半からブレイクダウン(ボール争奪戦)に激しくプレッシャーをかけ、ジャッカルで何度もターンオーバーを勝ち取った。後半12分には浅見がPGを追加して27-12とし、精神的にも優位に立つ。松永は、このスコアの直後、自陣から大きく慶大陣にボールを蹴り込み、これがバウンドしながら22mライン内でタッチラインを割った。従来通りの相手ボールラインアウトでも陣地を進めたという意味で良いキックだ。しかし、8月1日から世界的に採用されている試験的実施ルールの50/22(フィフティ・トゥウェンティトゥー)が適用され、筑波大ボールのラインアウトとなる。この試合での松永の勢いを象徴するシーンだった。
29分には筑波大がモールを押し込んでペナルティートライを追加し、34-12とほぼ勝敗は決した。試合を放送したJ SPORTSのスタッツでは、筑波大がブレイクダウンで12回のターンオーバーに成功している。タックルで前に出て、倒した相手を乗り越え、時にはジャッカルするなど、徹底したプレッシャーが大きな勝因だった。対する慶大はスコアされた後のキックオフを3回ダイレクトタッチにしてしまうなど、相手にボールを渡してしまうことが多く、反則数も筑波大の3に対して13と、規律の面でも課題が残った。
筑波大のプレイヤーオブザマッチは、当然のことながら松永。ひたむきに戦った全員が称えられるべきだが、キャプテンがけん引した勝利だったことは間違いない。筑波大は、次戦(10月9日)で早大と対戦する。激しくプレッシャーをかけ続け、攻撃力ある早大を止めることができるのか。その挑戦が楽しみだ。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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