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【ハイライト】トヨタ自動車 vs. 日野|トップリーグ 2021 プレーオフ2回戦
18点差をつけられた日野だが、勝利を捨てることなく猛反撃に出る。19分、CTBトンガモセセの突進でトヨタ自動車ゴールに迫ると、SHオーガスティン・プルが相手とのボールを奪い合いに勝ってWTBペニーにオフロードパス。ペニーがこの日2つ目のトライを右コーナーに決めた。SO東郷太朗丸がゴールを決めて、28-17。23分にはプルのパスを受けた川井が巧みなコースチェンジでトライし、28-24の4点差に詰め寄った。盛り上がる日のサポーター。しかし、反撃もここまで。疲れの見える日野はディフェンスがほころび始め、トヨタ自動車の途中出場のCTBロブ・トンプソン、SH滑川剛人らのトライで突き放された。
トヨタ自動車 vs. 日野
この試合のハイライトは、事前に引退を表明していた日野LO北川俊澄の登場だった。195cmの長身で日本代表キャップ43を重ねた40歳は、トヨタ自動車で16年にわたってプレーしたあと、日野にやってきた。49-29で迎えた試合終了間際、日野に最後のトライチャンスが巡ってくる。トヨタ自動車ゴール前でのラインアウトをジャンプしてキャッチしたのは北川だった。両手でがっちりボールを確保してモールを組むと、その原動力になって足をかき、最後まで押し込んでHO郷雄貴のトライをアシストした。
引退する選手が最後のゴールキックを蹴るのは世界のラグビー界でもよく見られる光景だ。チームメイトに促されて蹴ったボールはゴールをそれたが、微笑ましく、清々しいノーサイドとなった。「ゴールキックはラグビー人生で蹴ったことがありませんでした。みんなが背中を押してくれて、ありがたかった。これがラストゲーム。最後にトヨタと戦えたのは運命的なものを感じました。楽しいラグビー人生でした」。引退するシーズンに、最後のトップリーグのプレーオフで古巣と戦うというめぐり合わせ。それは、献身的にボール確保に身を削ってきた北川俊澄へのラグビーの神様からの贈り物のようでもあった。
日野のゲームキャプテンを務めたオーガスティン・プルは、「ファイティングスピリットを80分間出そうとしていました。それは伝わったと思います」と語り、後半20分過ぎまで勝敗の分からない戦いを繰り広げた仲間を称えた。一方、勝ったトヨタ自動車のSH茂野海人は「ミスが多くテンポが上げられなかった。ブレイクダウン周りもサポートが遅かった」と反省を口にした。準々決勝では、今季、旋風を巻き起こしているNTTドコモレッドハリケーンズと対戦する。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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