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ラグビー コラム 2020年7月20日

沢木敬介監督、キヤノンイーグルスで始動 写真を撮りたくなるようなチームを目指し、 掲げるのは「エキサイティング&クオリティー・ラグビー」

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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──キャプテンは田村優選手が就任しました。この狙いを教えてください。

「優とは付き合いが長いのですが、ああ見えて、けっこう真面目です(笑)。責任あるポストにつけば、選手としても個人としてもまだまだ成長できるでしょう。チームに影響力のある選手ですし、引っ張ってくれると思います。庭井祐輔をバイスキャプテンにしましたが、庭井は本当に真面目で、優はシャイで努力を人に見られなくないようなところがありますけど、2人は良いバランスだと思います」

──沢木さんは、サントリーの監督時代に入社2年目の流大選手をキャプテンに抜擢しています。キャプテンの選考には独自の考え方があるのですか。

「僕はパフォーマンスでチームを引っ張ることができるかどうかを大事にしています。グラウンドに立って、プレーで影響力ある人間ですね」

──新加入の小倉順平選手は10番で田村選手とポジションが同じです。このあたりは、どう考えていますか。

「長いシーズン、コンディションの問題もありますし、優が怪我をするかもしれない。順平もまだまだ成長したいと思っている。競争しながら、2人とも成長できるのはないかと思っています」

──2人を別のポジションで起用することもありそうですか。

「基本的には2人とも10番で成長してもらいたいです。ただし、相手チームを分析して、優を12番にするとか、順平が15番でプレーすることもあるかもしれません。これは分かりません」

──サントリーから移籍の松井千士選手は、オリンピックまではセブンズ日本代表に専念することになるのですね。

「もちろん、そうなります。ただ、フィットネステストはやらせましたよ。もっと成長できる選手だと思います」

──注目の若手選手はいますか。

「まだボールを使った練習をしていないので分からないです(笑)。PRのあんちゃん(安昌豪、1年目)は、きょうもフィットネスでBK並みの数値を出しているし、他にも楽しみな選手はたくさんいますよ」

──サントリーのときは監督就任初年度に優勝していますね。そこは狙いますか。

「狙わなきゃいけないと思います。簡単に勝てるとは思ってませんが、目標は高く掲げ、それに向かってチームが団結してチャレンジしていきたいです」

──トップリーグで優勝するために、チームに必要なものは何ですか。

「勝てるチームの条件として一番必要だと思うのは、組織(チーム)に対する愛情です。自分たちが属している組織に誇りを持ち、愛情を持ってできるようになれば、いろんなところが良い方向に変わってくると思います」

──サントリーと戦う時、どんな意識になるのでしょうね。

「サントリーもコーチが変わってプレースタイルが変わるでしょう。僕はサントリーには成長させてもらったし、すごく感謝しています。恩返しは勝つことだと思います」

──ボーデン・バレット(サントリーサンゴリアス)、グレイグ・レイドロー(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)ら海外からスター選手が多数トップリーグに加入しますね。

「良いことだと思うし、楽しみです。でも、日本人選手も負けてはいられません。僕の考えですが、海外から来る選手は日本人選手では補えない部分を補っていますよね。もっともっと日本人選手のレベルを上げて行かなくてはいけない。外国人選手がチームに与えてくれる影響は大きなものですが、バランスをとりながらやらないと、チームに対する愛情などは薄れると思います。選手のコンペティション意識を高めるマネージメントをしっかりやっていかないといけないと思います」

──コロナ禍でチーム作りは難しいと思います。

「僕はあまりネガティブにとらえていません。選手にとってはラグビーを学ぶ時間もあったと思うし、やれることを見つけてポジティブな感覚でいきたいです」

──沢木さんも、ステイホーム期間はラグビーの試合をたくさん見られたのではないですか。

「サンウルブズがまだ試合できる可能性があったので、相手チームの分析をしていました。だから、僕はいまスーパーラグビーには詳しいですよ。J SPORTSの解説をしたら、めちゃくちゃ話せます(笑)」

──サンウルブズでコーチをした経験はご自身のコーチングのレベルアップにつながりましたか。

「それは間違いなくつながっています。いろんな選手に対するアプローチの仕方も学んだし、サンウルブズは時間との戦いもある。限られた時間をどう使うかを考えましたし、長く時間を使えば選手のパフォーマンスが上がるかといえば、サンウルブズはそうではない。いろんな考えが生れてくるチームでした。チームとして何にこだわるかということも明確にしなければいけなかった。自分の引き出しを増やすために良い経験でした。今後も成長できるチームだと思っていたので終わってしまったのは残念です。若い選手はいい経験ができたと思うし、日本のスーパーラグビーのチームという形で残ってもらいたいです。トップリーグの選手みんなが目指す存在になることができれば良いのですけれどね」

──コーチとしては、今後、どんな目標がありますか。

「まずは、しっかりキヤノンにコミットして、その先も新たなチャレンジを続けていきたいと思っています」

──日本代表のヘッドコーチも視野に入っていますか。

「コーチとして目指すべきところだと思います」

──キヤノンのファンの皆さんにメッセージをお願いします。

「今まで以上に応援して下さる皆さんが魅力を感じるチームになり、自分たちの組織だと思えるくらいの一体感を持ったチームになりたいと思います」

──トップリーグの開幕を心待ちにしているファンの皆さんにもお願いします。

「トップリーグは、間違いなくこれまで以上に面白くなるし、世界のプロリーグに引けを取らないくらいのレベルを目指していかなくてはいけないと思っています。そういうポテンシャルがあるリーグだし、魅力があるからこそ、海外のビッグスターが来ていると思います。エキサイティングなシーズンになると思いますので期待していてください」

インタビューを終えて、清々しい気持ちになった。筆者はこれまで何度も沢木さんを取材し、ラグビーワールドカップやスーパーラグビーの解説席で一緒に仕事をし、試合に対する鋭い洞察力と同時に、ラグビーというスポーツ、選手への深い愛情を感じていた。意外と言っては失礼だが、サービス精神も旺盛だ。監督就任初年度にプレーメイカーである田村優をキャプテンにしたのも沢木さんらしい。孤高の存在になる可能性のあるスター選手を、キャプテンにすることでさらに成長させる。田村優という選手のキャラクターをよく理解し、大切にしているからこそだろう。どんなチームを作りたいのかを問いかけたとき、「写真に撮りたくなるようなチーム」という答えは、分かりやすく新鮮だった。チームのカルチャーを大切にし、魅力的なチームを作りそうだという期待感が膨らんだ。神戸製鋼コベルコスティーラーズ、パナソニックワルドナイツら強豪チームと見ごたえある戦いをしてくれるのは間違いないだろう。トップリーグの開幕が待ち遠しい。



文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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