大学ベスト8の激突 王者・明治大ほか上位陣は順当に勝ち進むのか？

早明戦勝利にも貢献した明治大LO箸本龍雅

大学日本一を目指し、正月越えを果たすのはどのチームなのか。第56回全国大学ラグビー選手権大会は、12月21日、準々決勝4試合が行われる。連覇を目指す明治大は、関西大学Aリーグ3位の関西学院大学と、秩父宮ラグビー場で対戦。関西学大は、3回戦で快進撃を続けていた朝日大学を38－19で下した。グラウンドを広く使ったオープン展開で先制すれば、得意のモールを押し込んでHO竹内海斗がトライするなど、多彩な攻撃でリードを広げた。明治大に対して、鍛え上げてきたスクラム、モールの強みを生かせるのかどうか。僅差勝負に持ち込むにはセットプレーが鍵を握る。

明治大は関東大学対抗戦を全勝で駆け抜け、伝統の早明戦でも充実のパフォーマンスを見せた。LO箸本龍雅が何度もボールを持って前進し、HO武井日向キャプテン、NO8坂和樹の突進力も光った。ラインアウトはLO片倉康瑛が抜群の存在感を見せる。ボールを持てば確実にゲインするWTB山崎洋之、FB雲山弘貴らBKラインもタレント揃い。そのうえ、ディフェンスも粘り強く、隙のないプレーを続けている。セットプレーを制圧すれば優位はゆるぎない。SOで先発する齊藤誉哉は、群馬県の桐生第一出身の1年生。彼のプレーにも注目したい。

秩父宮ラグビー場の第1試合は、関東大学リーグ戦1部で優勝した東海大が登場し、関東大学対抗戦4位の筑波大と対戦する。筑波大は3回戦で関西2位の同志社大を破った。キャプテンのSH杉山優平のフラットなパスに次々に走り込み、接点で同志社大を押し込み、WTB仁熊秀斗らが7トライをあげた。東海大に対してもテンポよくボールを動かすことができれば僅差勝負に持ち込めるだろう。東海大は眼窩底骨折で戦列を離れていたCTB眞野泰地キャプテンが復帰する。眞野と同じくU20日本代表にも選出されたPR中野幹が引っ張るFWで前に出てボールを動かしたい。秩父宮ラグビー場の2試合の勝者同士は、1月2日、同会場での準決勝で対戦する。

昨年選手権準優勝の天理大SH藤原忍

東大阪市花園ラグビー場の第1試合は、関東大学対抗戦2位の早稲田大と関東大学リーグ戦1部2位の日本大が対戦。日大は、3回戦で関西4位の京産大との強力FW対決を制した。PR坂本駿介キャプテンが引っ張るFWで相手ゴールに迫れば、LOテビタ・オト、NO8シオネ・ハラシリなどパワフルな選手でトライを奪う。対する早大は、SH齋藤直人、SO岸岡智樹のHB団が自在にボールを動かして攻撃を組み立てる。CTB長田智希、WTB古賀由教、FB河瀬諒介らスピーディーなBKラインを生かすためにはボール争奪局面で優位に立ちたい。スクラム、ラインアウト、ブレイクダウンなど、ボール争奪戦で優位に立つのはどちらか。

花園の第2試合は、関西王者の天理大に、3回戦で帝京大を下した流通経済大が挑む。関東大学リーグ戦1部3位の流経大は、帝京大を相手に徹底的にボールをキープして攻め続けた。後半20分過ぎに31－39と8点差を奪われた中での逆転勝利で、WTBイノケ・ブルアが再三大幅ゲインするなど攻撃力の高さが光った。天理大に対しても攻め続けることができるかどうか。昨年準優勝の天理大は、昨年のチームからHO島根一磨（パナソニック）、NO8ファウルア・マキシ（クボタ）らの主軸が抜けたが、試合を重ねるごとにHO北條耕太、LOアシペリ・モアラらが成長し、チーム力を上げている。ジュニア・ジャパンのSH藤原忍も戦術眼に長ける。ただし、関西リーグで全試合50点以上をあげ、接戦ができていない。果たして関東の上位陣との力差はどうか。興味深い試合だ。

文：村上 晃一