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ラグビー コラム 2019年5月29日

ラグビーを愛するトップビジネスマンに聞く~吉野家 田中 安人CMO~

ラグビーのすゝめ by 村上 晃一
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田中 安人

企業にも適用できる帝京大学ラグビー部の組織論

──田中さんは、ご自身の母校である帝京大学ラグビー部の岩出雅之監督の著書「常勝集団のプリンシプル 自ら学び成長する人材が育つ岩出式心のマネジメント」(日経BP社)をプロデュースされたそうですね。

「ラグビー部のOB会の幹事長をしていたので、監督の近くにいることが多くなりました。帝京のラグビー部には暗黙知がいっぱいあり、これを形式知にしたら面白いのではないかと企画を考え始めました。帝京の組織論は企業にも適用できると考えたのです。そしてビジネス本にしたかったので、日経BP社に持ち込んだのですが、暗黙知を解明してみたら、世界最先端の心理学が詰まっていることがわかりました。岩出監督が自ら気付いて作られていた仕組みが、実は心理学に基づいたものだったのです。これには日経の方も驚いて、出版する運びとなりました。監督は教育者ですから、すべて抱え込まないで公開しようと言ってくださいました。要点を言うと、3つあります。1つ目は、自立型学習組織を確立しました。メンバー一人ひとりが自律的に考え、行動し、仲間を助け合いながら、自ら学習、成長する集団です。2つ目は、監督自身が思考を180度変えられたことです。組織は、トップである監督の思考以上にはならないということを体現されました。例えば、帝京のラグビー部は4年生が掃除、洗濯をするのですが、従来の下級生が行うというピラミッドとは逆を実行しました。3つ目は、ダブルゴールです。日本一になった先に立派な社会人になるというゴールを設けるということです。帝京が国立競技場で試合をしたときに、試合に出場せずブレザーを着ている部員が素手でゴミを拾っていたんです。僕は、それはやらされているの?と聞きました。すると、僕らはプレーできないけど、来場者に喜んでもらうためにできることは何かを考えて、やっていますと答えました。その瞬間、後輩を誇らしく思うと同時に、彼らが立派な社会人になるべく、大学4年間を岩出監督と共に過ごした選手たちを羨ましくも思いました。この本も、ラグビーの神様に恩返しする僕のライフワークの一つです。」

──今後やりたいことを教えてください。

「いま僕はマーケティングの仕事をしていますが、ベースはラグビーの精神、哲学で学んだ思考法と組織論をいろんな企業にお伝えする仕事をしています。これからもやっていきます。」

──それはどんな組織論ですか。

「ラグビーをしていた人がなぜ社会で成功するのか、個人的な興味があって研究しました。ギバーの法則というものがあります。ギバーとは与える人のことです。岩出監督が言っています。『自分が勝ちたいと思っているときは勝てなかった。学生を勝たせたいと思ったら勝ち始めた。学生を幸せにしたいと思ったら日本一になった』。岩出監督は与える人になったときに日本一になりました。原田先生もそうですが、与え続けている人は良い人材を輩出します。たとえば、バスケットボールのマイケル・ジョーダンは、みんなスーパースターだと思っていますが、実は努力の人です。行動心理学を勉強していくと、スーパースターになっている人に共通していることが一つだけあって、初期の段階でギバーのコーチに出会っているということです。これを会社組織に導入したいと思っています。素晴らしい上司がいると部下が成長するということです。」

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