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ラグビー コラム 2019年4月23日

ラグビーを愛するトップビジネスマンに聞く~デジタルハーツホールディングス 玉塚 元一社長~

ラグビーのすゝめ by 藤島 大
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玉塚元一

元シンガポール代表

──自身のラグビー歴を。

「慶應の普通部(中学)に入って、たまたまグラウンドで見たんです。まず、おもしろそうだなあと思った。周囲からは、ラグビー部は大変だぞ、先輩はこわいし、落第するぞと言われましたが、それでますます興味がわいて、いざ入ったら、あっという間に好きになった。ただ高校のときは強豪のひしめく神奈川県の予選を突破できず、悔しくて悔しくて、同時に、努力しても勝てないのなら続けても仕方がない、という気持ちにもなりました。大学ではラグビーとは離れた生活を送ろうかなと、しばらく迷った。結局、途中でやめるのはよくないと考え直し、少しだけ遅れて入部しました。卒業して旭硝子に入り、シンガポール駐在になると現地のクラブでもプレーしました。31歳で香港セブンズにも出場しましたよ」

──あの有名な大会に。

「シンガポール代表に選ばれたんです。ジャパン代表にはなれなかったけど。香港セブンズではオーストラリアと対戦、ボールをつかんだら目の前にティム・ホラン(ワラビーズの世界屈指のセンター)がいた。普通、セブンズはパス。でも、こんなチャンスは2度とないと、思い切り突進しました。ティムは脳震盪、僕は膝の靭帯切断。3度も手術しました。それで引退です。ティムはカケラも覚えてないと思いますけど」

──いわばラグビー漬けから企業人へ。出発点である旭硝子時代の話を。

「節目節目で適切なピリオドを打つことも重要だと考えていました。社会人になったら会社が勝負の場だと。入社後、千葉の工場に配属されました。最初の会議で、東大や早稲田卒の同期が、次々と意見を言う。でも僕は何を話しているのか理解できない。化学品の工場というのは専門用語であふれているんです。宇宙にきたような感覚。それでスイッチが入りました」

──まずどこから始めましたか。

「ノー・マニャーナ。スペイン語で『明日はなし』。わからないことを絶対に次の日に先延ばしにしないと決めた。そうすると大変なんですよ。なぜ、あのタンクとこのタンクを混ぜるとこんな製品ができるのか。なぜ、あの商品は船でなくトラックで運ぶのか。なんで、こっちはキログラム単価なのに、あっちはリットル単価なのか。無限の疑問がわく。それを現場の先輩にメモを手に聞きまくるんです。そうするうちに編み出した『技』がありました」

──なんですか?

「『マルチプル・クエッション』。あれとあれを混ぜると何ができるんですか? これはシングル・クエッションですよね。その質問をして、現場の先輩の顔を見て優しそうだったら、さらに、たとえば、それに付加価値をつけるためにどういう工夫をするんですか、と聞いていく。現場のおじさんって、本当は若い人に教えるのが好きなので、お前、そんなことも知らないのかと言いながら、丁寧に教えてくれるんですよ。工場には2年いたんですが、最後のほうは会議で現場しか知らないような細部まで説明できるようになった。そういうことは勉強だけではわからないんです。そこで学ぶコツをつかんで、そこからは海外勤務したときも、同様に「ノー・マニャーナ」の精神で取り組んできました。」

巻き込む力

──会社を元気にできるリーダーに求められる資質とは?

「アジェンダ(行動計画)やビジョンの設定能力。そして巻き込む力。会社のポテンシャルを具体的に広げるためには、リーダーが台風の目になって仲間を巻き込まなくてはならない。さらに、チャンスとピンチをかぎわける嗅覚。現場の声やお客様の反応等にアッと気づく感受性。それらをただちに実行する行動力・推進力。これがリーダーには必要だと思います。」

──ワールドカップ開幕が近づいてきました。

「首都圏だけではなく全国の人たちが本物のラグビーに触れる。素晴らしい機会だと思います。サンウルブズというプラットホームができて、世界のスタンダードを知って、ダイバーシティー(多様性)のあるチームが生まれ、ジャパンは確実に強くなっている。楽しみですね」

玉塚元一

代表取締役社長CEO 玉塚 元一

昭和60年慶應大卒、旭硝子株式会社(現:ACG株式会社)入社。
平成10年株式会社ファーストリテイリング入社、平成14年同社社長に就任。
ローソン社長などを経て、平成29年株式会社ハーツユナイテッドグループ(現・デジタルハーツホールディングス)社長CEO。

株式会社デジタルハーツホールディングス

ゲームソフトの不具合を検出する「デバッグ」を中心に事業を展開。現在は、「第二創業期」として、ゲームデバッグで培ったノウハウやアセットを活かし、エンタープライズ領域におけるシステムテストやセキュリティ等の新規事業拡大を推進。
https://www.digitalhearts.com/#scene01

藤島大

藤島 大

1961年生まれ。J SPORTSラグビー解説者。都立秋川高校、早稲田大学でラグビー部に所属。都立国立高校、早稲田大学でコーチも務めた。 スポーツニッポン新聞社を経て、92年に独立。第1回からラグビーのW杯をすべて取材。 著書に『熱狂のアルカディア』(文藝春秋)、『人類のためだ。』(鉄筆)、『知と熱』『序列を超えて。』『ラグビーって、いいもんだね。』(鉄筆文庫)近著は『事実を集めて「嘘」を書く』(エクスナレッジ)など。 ラグビーマガジン、週刊現代などに連載。ラジオNIKKEIで毎月第一月曜に『藤島大の楕円球にみる夢』放送中。

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