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ヤマハ発動機ジュビロは、19日の豊田自動織機シャトルズ戦が清宮克幸監督のラストゲームとなった。8年間チームを率い、数多くの日本代表選手を育てた。五郎丸歩、矢富勇毅といったスター選手もいるが、仲谷聖史、大戸裕矢、三村勇飛丸ら地味ながら献身的に働く選手たちを日本代表へ送り出したのは何よりの功績だろう。170cm、80kgの宮澤正利はヤマハ発動機ジュビロを象徴する存在。大きなサイズのCTBが増える中でハードタックラーとして活躍し、今季最後の試合で今季初トライをあげた。他のチームでもカップ戦を最後に引退、移籍する選手、コーチが多く、それぞれのチームにとって感慨深い最終戦となっていた。
高橋汰地(明治大学)
大学ラグビーについても触れておきたい。最後は明治大が22シーズンぶりの頂点に立った。筆者はラグビーの取材を始めて30年になるが、これほどまでに規律正しく動き続ける明治の選手たちを見た記憶がない。明治と言えば、ファンも選手もおおらかで、チャレンジャー側からすれば、勝機を見出せるスキのようなものがあったのだが、今季の明治は接戦を何度も潜り抜けたこともあり、粘り強く、決勝戦のプレーは研ぎ澄まされていた。天理大のウィークポイントを巧みに突き、天理の猛反撃に耐えての優勝は感動的だった。田中澄憲監督はじめコーチ陣の手腕は高く評価されるべきだ。一方で、帝京大学の10連覇を阻止した天理大、そしてこのチームをけん引した島根一磨キャプテンのことも、多くのラグビーファンは語り継ぐだろう。
帝京の連覇が途絶えたことで、再び大学ラグビーは群雄割拠、来季からはどのチームが勝っても不思議のない優勝争いが繰り広げられそうだ。明治、天理は来季も引き続きいまの実力を維持するだろう。早稲田も力を伸ばすだろう。慶應義塾は主力選手の多くが卒業するが、現状の戦力を最大限に引き出すチームだけに注目の存在なのは間違いない。天理を苦しめた大東文化大、明治大を追い詰めた東海のリーグ戦勢も力がある。そして、帝京大もこのままでは終わらない。必ず立て直してくる。
天理大が決勝に進出したことで、大学選手権の主要リーグの出場校枠は、今季の同じ方式が来季も採用される前提で、関東大学対抗戦A「4」、関西大学Aリーグ「4」、関東大学リーグ戦1部「3」となった。各リーグの順位争いからも目が離せない。楽しみはつきないが、しばらくの間はラグビーワールドカップに向かって、サンウルブズ、日本代表、そして参加国の動向を注目したい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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