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終了も近づく中で光ったのは、慶大のブレイクダウンでのプレッシャーだった。相手のミスを誘発すると、敵陣5mライン付近でマイボールスクラムを獲得。
このスクラムでマイボールをキープすると、NO8(ナンバーエイト)山中侃(商4・慶應)が直接自分で持ち出してショートサイドへ。
それに反応した相手FWを1人はがすと、さらに待ち構えていた相手ディフェンスに掴まれながらも、楕円球をインゴールへ叩きつけた。山中の値千金のトライで慶大は逆転に成功し、秩父宮が湧いた。
残りのわずかな時間も、マイボールを継続させ相手にボールを渡さず。最後は古田がタッチへ蹴りだして、ノーサイド。伝統の一戦は、慶大に軍配が上がった。
前半はセットプレーで苦しんだ。特にスクラムでは明大が誇る重量級FWを前になすすべなく、マイボールも簡単に奪われてしまった。しかし、ブレイクダウンでは慶大のプレッシャーが勝り、明大のペナルティを次々と誘発。
マイボールを失っても、流れを完全に相手に渡すことはなかった。また、後半に投入されたHO(フッカー)安田裕貴(政3・慶應)、PR(プロップ)大山祥平(経2・慶應)の両フロントローがスクラムでの流れを変えた。
疲れが溜まってきた終盤に最大限の力を発揮し、ターンオーバーを許さず。最後の逆転トライにも結びつける大きな役割を果たした。 ビッグゲームと位置付けたうちの1戦を勝ちきり、チームとしての完成度も徐々に高まってきた。そして次に控えるのは、いよいよ早慶戦。
対抗戦においては、ここ7年間勝利がない相手だが、今春の招待試合では31-29で接戦をものにしている。しかし、もちろんライバルを侮ることはできない。
この日、帝京大学を相手に初黒星を喫したものの、慶大と同じく4勝1敗。FW、BK(バックス)共に経験豊富な選手が揃い、多彩なアタックを仕掛けてくる。また、ディフェンス面でも穴は少なく、簡単にトライを奪うことは難しそうだ。
だが、この日のような粘り強い戦いができれば、8年ぶりの早慶戦勝利も見えてくるだろう。黒黄軍団のその眼には、赤黒の壁を打ち破る瞬間がもうはっきりと見えている。
文:重川航太朗/写真:川下侑美、田中壱規(慶應スポーツ)
慶應スポーツ新聞会
慶應義塾大学文化団体連盟所属の公認サークル。通称ケイスポ。全40ある体育会の取材から記事の執筆、年7回の新聞製作まで全て学生の手で行う塾内唯一のスポーツ新聞サークル。部員数約50名、35年の歴史を持つ。»慶應スポーツWebサイト
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