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【ラグビー日本代表コラム】連勝するには、まだ実力が足りなかった。それを痛感する敗戦だった。6月テストマッチ第2戦イタリア戦レビュー
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一試合後の記者会見では、ジョセフヘッドコーチが「規律が守れなかった」ことを敗因の一つにあげた。イタリアの圧力を受けた中でのミス、反則が多く、それがそのまま失点につながったからだ。攻撃面でも序盤は消極的になっていた。機を見てボールを展開しても選手が孤立してボールを奪われてしまう。攻撃選択のチグハグさもあり、サポートの遅れも目立った。イタリアはブレイクダウンへの激しさ、姿勢の低さがあり、モールが押し込めると見るやBKの選手も参加して押し切ろうとするなど勝利に対してどん欲だった。日本は第1戦の快勝でチームとして「準備通りやれば勝てる」という精神状態になっていたのかもしれない。試合に向けてのメンタルの作り方の難しさを感じる戦いでもあった。
ティア1カントリーに対して、チャレンジャーとして戦えていたのかと問われれば、そうではなかった気がする。なにより、イタリアのオシェイヘッドコーチが、「リアクションの部分で上回ることができた」とコメントしたように、攻守の切り替えなどリアクションで後れを取ったのは大きな反省点だ。パワーで列強に劣る日本は、攻守のリアクションの良さで勝負しなくてはいけないチームだ。スクラム、ラインアウトは互角に戦えるようになったが、素早さの部分が失われてはティア1に勝つことはできない。「19点を奪われてもあきらめず、勝つ可能性のあるポジションまでもって行けたことはポジティブです」。ジョセフヘッドコーチは、最後に追い込んだ選手たちを称えることは忘れなかった。
冒頭のリーチのコメント通り、学ぶことの多い試合だった。ティア1と2試合、互いに分析をし合いながらの真剣勝負ができたことは何よりの財産だ。「貴重な経験」という定型句を過去に何度も使ってきたが、今回の2連戦での「学び」は過去の試合とは比較にならないほど多い。ティア1との2連戦で、先に勝って2戦目を迎えることは過去になかったからだ。リーチは、「どうやって勝つところまで持って行くのか、リーダー陣で話し合ってジョージア戦に向かいたいです」と前を向いた。ジョージアは世界最強のスクラムを組み、パワープレーはイタリアよりも上だと思ったほうが良い。テストマッチは勝つことを最優先にする戦いだ。今回の反省をもとに勝つことにどん欲な姿勢を見せてもらいたい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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