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長らくセブンズ日本代表の活動に携わってきた岩渕HCは過去のデータを活用し、他競技の代表チームとの交流を深め、スポーツ界の最先端の情報を収集しながら強化にあたる。メダル獲得のために「世界一のものをいくつ作れるか」が肝だとも話した。今年の4月、香港で開催されたワールドラグビーセブンズ 2018-2019 シリーズ コアチーム予選大会で、セブンズ日本代表は優勝し、今年の11月から始まるセブンズシリーズ全大会に出場できるコアチーム昇格を達成した。一年おきに昇降格を繰り返しており、定着できないのが実状だが、2020年に向かって世界の舞台で戦える機会が増えたのは歓迎すべきことだ。
「来シーズンは11月下旬のドバイ大会から始まります。いまから6カ月しかありません。その間に、セブンズのワールドカップ(アメリカ、7月開催)があり、アジア競技大会、アジアセブンズシリーズがある。それぞれの大会に向かって良いコンディションを整えていくことも大事ですが、オリンピックに向けては、ワールドシリーズで結果を出していくことが大事です。そこでベスト8、ベスト4に入るような戦いを経験しておかないと、メダルは獲得できない。短期的な結果を求めながら、長期的な強化を進める必要がある。大会がたくさんありますが、その中で選手に負荷をかけて鍛えていきたいと思います」
東京五輪の出場枠は男女ともに開催国が確実に出場できるかどうか決まっていない。日本代表も予選を突破しなくてはならない可能性がある。リオ五輪を例にとれば、ワールドシリーズの4位以内か各大陸予選の1位になることが必要だ。最低でもアジアの1位になる実力をつけておかないと、出場を逃す可能性もある。岩渕HCがリオ五輪後に痛感したのは、日本ラグビー界史上最高の4位になっても、帰国後、何も起こらなかったということだ。メダルを獲得しない限り日本では話題にならない。そのため、東京オリンピックには自身のすべてを賭けて臨む覚悟だ。就任会見の夜、港区と日本協会が開催する「みなとスポーツフォーラム」では、聴衆に向かって最後にこう語った。
「東京オリンピックまで800日を切っています。これまでのラグビーの状況を考えれば、東京オリンピックでメダルを獲る以外、結果を出せたとは言えない。そのために、(今後の強化において)一つのミスもなくやってく必要があります。2019年も含めて、2020年も皆さんの応援がないと良い結果は出ないと思います。800日後に、日本ラグビーの先の50年が決まってしまう。そういう覚悟でやってまいります。ぜひ応援よろしくお願いいたします」
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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