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ピックアップ コラム 2021年6月1日

パリへのスタートに東京五輪代表争い、ブダペスト世界選手権はみどころの「坩堝」

柔×コラム by 古田 英毅
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大野陽子選手

大野は2018年バクー世界選手権の銅メダリストだが、この階級における存在感の高さはこの成績だけでは説明できない。打点の高い一本背負投はそのパワフルさ、美しさともに、間違いなく現在の女子柔道選手ナンバーワンの美技。勝つときは常に圧勝、最高到達点の高さでは間違いなく世界一である。圧勝Vと初戦敗退を繰り返す不安定さのために五輪代表は逃してしまったが、今回は念願の世界タイトルを獲る絶好の、ひょっとすると最後のチャンス。同じく五輪を逃した2019年の世界王者マリー=イヴ・ガイ(フランス)との対決がみもの。

若手選手からは90kg級の村尾三四郎と100kg級の飯田健太郎の金メダル獲りに期待。

村尾三四郎選手

20歳の村尾は5月のグランドスラム・カザンを全試合一本勝ちで圧勝。五輪の金メダル候補筆頭のイゴルニコフ(ロシア)も大外刈「一本」に斬り落とし、呆気にとられたIJFのアナウンサーが「いまからでも五輪に出られないのか?」と叫んでしまうほどのインパクトを残した。現時点で90kg級の世界最注目選手と言って過言ではない。2018年の世界王者シェラザディシヴィリ(スペイン)や先輩長澤憲大を向こうに回し、初出場初優勝を目指す。

飯田は高校3年生時の2017年にグランドスラム・パリという超ハイレベル大会に優勝。ニュースター現わると世界を色めき立たせたが、世界王者ウルフアロンの存在もあって大学4年間はこれに勝る成績を残せず。今春から旭化成所属となったこのタイミングで、初めて世界選手権出場の栄を得た。得意技はこれぞ日本柔道という切れ味の内股。あまりに柔道が綺麗であるがゆえの展開的な脆さが課題であったが、4月の全日本選抜体重別(優勝)を見る限り、力・技術ともにかなりの上積みを得ている模様でこの点各段に逞しくなっている。あの頃を思えば、2021年のこの時点で飯田がまだ世界を獲っていない、どころか世界選手権に出ていないことはまさに意外。「天才」と称されたその才能にふさわしい位置を、今回こそは掴んで欲しい。

と簡単に4人を紹介したが、リネール超えで世界の注目を浴びた100kg超級の影浦心、パリに向けて再びのアグベニュー超えに挑む63kg級の鍋倉那美、連覇に挑む66kg級の丸山城志郎に、2度目の優勝を目指す橋本壮市に志々目愛と、語るべき選手は数知れない。日本代表14階級18名は全員が優勝候補。金メダル確実と目される団体戦の代表も含めて、出場する全員が注目選手だ。時差7時間(もっとも気力体力が要るパターンだ)というハードルはあるが、8日間画面にかじりついて、この豪華大会を堪能しようではないか。

文:古田 英毅(柔道サイト eJudo)
※6月1日時点のエントリー情報に基づいて作成しています

古田 英毅

「eJudo」編集長。国内の主要大会はほぼ全てを直接取材、レポートを執筆する。自身も柔道六段でインターハイ出場歴あり。2019年東京世界選手権から、全日本柔道連盟の場内解説者も務める。J SPORTSワールドツアー中継ではデータマンを担当。

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