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63kg級の田代未来は優勝必須。唯一のライバルと目されるクラリス・アグベニュー(フランス)がおらず、1次エントリーの段階で姿のあったリオ五輪王者ティナ・トルステニャク(スロベニア)も先週末の田代エントリーを受けてか、週明けに出場を取り消した。田代に迫るレベルの選手はゼロ。逆に言えば取りこぼし、もっと言えば苦戦すら許されない厳しい状況ではあるが、ミッション完遂に期待したい。
70kg級の新井千鶴は、大会中断前のグランドスラム・デュッセルドルフではキャリア最高とも言えるパフォーマンスを見せて圧勝している。強気の組み手に冴えた足技、威力のある内股に手堅い寝技とついに才能完全開花の感があった。まずはあの柔道が継続出来ているかどうかに注目したい。この階級もライバル選手の影が薄く、つまりは新井の指向する柔道がストレートに表現されるはず。パワーファイター打ち揃う70kg級にあって「やりたいことをやる」ためにこの1年間体幹トレにリソースを費やし、力を蓄えて来た新井が「何をやりたいのか」がよくわかる1日になるはず。筆者個人としては、今大会の女子代表のうちもっとも楽しみなのはこの新井である。昨年1度みせた「開花」に、太鼓判を押させる大会にして欲しい。
78kg超級の世界王者・素根輝は代表内定が早かったため、この大会が1年3か月ぶりの実戦。この中断期間に各地で繰り広げた素根のハードワークは業界の語り草、目撃したものからは「凄まじい量と質」との感想が相次いでいる。視察に訪れた増地克之代表監督も「止めないとどこまでも稽古してしまう」と舌を巻いたとのこと。国際大会の様相とこの稽古ぶりを考えると、素根はこの期間で遅れをとるどころか、さらに周囲を引き離している可能性すらある。この階級も大出世のホマーヌ・ディッコ(フランス)が出場せず、イダリス・オルティス(キューバ)も素根のエントリーを受けてか出場を取り消しており、素根の勝利自体は間違いない。上背に劣る素根が、イリーナ・キンゼルスカ(アゼルバイジャン)ら大型選手に「形上優位に見える時間帯」をいかに与えずに勝つか、本人も課題にしてきたはずのこの点に注目。
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