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ピックアップ コラム 2020年6月16日

コロナ禍でのマネージメントのキーワードは「自主性」 指導者たちが実践したニュースタンダードに迫る 大久保秀昭(JX-ENEOS硬式野球部監督)×藤田将弘(日本体育大学男子バスケットボール部監督)×青島健太(スポーツライター) 困難突破トーク 監督室編

J SPORTSプロデューサーコラム by 杉山友輝(J SPORTSプロデューサー)
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どこにもぶつけられない心の痛み

コロナ禍により様々なスポーツの試合や大会が中止となる中で、チームの指揮官である監督はどのような信念でマネージメントをしているのか? また、スカウティングをする側とされる側の苦悩などを、大久保秀昭氏(JX-ENEOS硬式野球部監督)と藤田将弘氏(日本体育大学男子バスケットボール部監督)が語り合った。ナビゲーターはスポーツライターの青島健太氏。(この収録は5月28日に行われました)

青島:本日は野球とバスケ界から二人の監督をお迎えしました。コロナの影響により非常に厳しい毎日が続いていますが、現在の状況はいかがですか?

大久保:社会人野球は春に都市対抗、秋に日本選手権がありますが、今年は五輪開催の影響により、そのスケジュールが逆になっていました。そのため、春の日本選手権が中止になり、6月いっぱい公式戦も中止。当面、試合の予定がありません。また、30名強の選手たちのほとんどが寮生活をしていますが、一切の外出禁止。寮とグランドだけの生活を1カ月以上しているので選手たちは辛い日々を送っていますね。

藤田:当たり前だった時間のサイクルが失われ、最初は戸惑いでいっぱいでした。目の前の目標である「大会」が中止や延期となり、それが決まった時の選手たちの残念な顔は忘れられないですね。新学年になり、今年にかける最上級生たちの気持ちもありますしね。どこにもぶつけられない心の痛みはありますね。



常に新しい情報を入手し、しっかりとした生活を送る

大久保監督

昨年まで慶應義塾大学硬式野球部で5年間監督を務めた大久保氏。監督の仕事は15年目になる。

青島:非常事態宣言が解除され、リスクを軽減しながら、世の中もスポーツ界も少しずつ前進しようとしている中で、改めて、大学・社会人スポーツが受けている困難や影響を教えてください。

藤田:大会が中止や延期となりましたが、学生たちが一緒に活動できないことも大きな問題ですね。全体練習はもちろん、学校に入ることも出来ない。学生たちには「私も人生で初めてのこと。この先どうなるかは分からないけど、常に新しい情報を入手して、しっかりとした生活を送りなさい。そして、安全な場所で過ごすように」

と伝えました。実家に帰りたくても帰れなくて合宿所に留まっている学生もいます。

大久保:企業スポーツは会社に貢献してこそですが、それが何も出来ていないので心苦しいです。都市対抗は社会人野球のメイン大会ですが、社員による応援も名物。新人社員は出社出来ていないために、応援してくださる会社の方たちとコミュニケーションが取れていない。それももどかしいですね。全体練習はしていませんが、密にならない範囲で自主練習をしています。おかげさまで野球部だけの敷地があるので、室内練習所をメインに、寮に併設されているジムやブルペン、外野の一角を使ってランニングをしています。世の中の情勢で変更になる可能性もありますが、9月の都市対抗予選、11月の本大会に向けて、6月1日からユニフォームを着て全体練習を、対外試合は6月14日からある予定です。


課題は出さず「自分をどう高められるか」を任せる

藤田氏

藤田氏の後ろに見えるのはバスケットボール部の練習場であるアリーナ。選手たちの汗と涙がぎっしりと詰まった場だ

青島:このような状況だから取り組めていること、選手たちに取り組んでほしいことはありますか。

藤田:学生たちに期待するところを含めて、乱暴な言い方もしれないですけど、大好きなバスケが出来ないこの状況で、自主性や主体性に重きを置き、あまり課題は出さず「自分をどう高められるかを考える」ということを学生たちに任せています。今までの日本のスポーツは「管理スポーツ」、監督の言ったことをやるのが良いというところがありましたが、今だからこそ学生たちの背中を思い切って推したところはありますね。

大久保:私もまさに同じ想いですね。自主性を重んじた指導理念のもと、日々取り組んでいます。学生に限らず、社会人も同じだと思います。この状況だから「やれない」、「出来ない」、「場所がない」、「時間がない」ではなく、今すべきことが何か、今何が出来るのか。トレーニングをしたり、過去の映像を見て分析をしたり、新しいことにトライするなど、自己向上の時間をプラスに考えられる選手が伸びていくし、そういった選手になってほしいですね。実際、この1カ月半で目に見えて分かるほど変わった選手も出てきていますし、プラスの面が見られたことは貴重です。

藤田:この期間に競技者としてフィジカル面と心、共に成長していると思います。希望を持って、今後の自分の人生をどうしていくか、こういう状況になったからこそ、ものすごく考えていると思います。こんなプレーをしたいということよりも、プロに行けるのか、競技生活を終える学生たちは就職活動をどうするのか、不安になっているでしょうね。私にとっては顔を見てサポート出来ない歯がゆさがあります。この問題がなければ感じていないことを思い悩んでいると思いますが、自分で「光」を見つけられるようプラスに考えてほしいですね。

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