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ここで渾身の走りを見せたのが前日のトップ争いで敗北を喫した野尻だった。予選Q1のA組を3番手で通過すると、Q2ではさらなるタイム更新を目指したのだが、1回目のアタックはコカ・コーラコーナーで少しはみ出てしまい失敗となった。だが、野尻はすぐに切り替えてタイヤの温度が上がり過ぎないようにペースダウン。仕切り直しでラストチャンスとなるタイムアタックに臨み、1分21秒522でポールポジションを獲得した。
好タイムが出たと分かった瞬間、野尻はコックピット内で力強くガッツポーズをみせた。
「コカ・コーラーコーナーで4輪脱輪してしまった瞬間『今回はチャンスを失ったな』と……そのくらい重要な局面だったと思います。その周は諦めてなるべくタイヤの熱を上げ過ぎないように注意しました。ポールを獲らないとレースでは勝てないという思いもありましたので、何としてもポールを獲得したかった。なので、非常に嬉しさが込み上げてきました」(野尻)
勝つために絶対必要だったポールポジションを手にした野尻。午後の第2戦決勝では、その優位性をフルに活かし、序盤からレースをリードしていった。
第2戦は野尻の独壇場かと思われたが、それに待ったをかけたのが前日のトップ争いを制した平川だった。予選Q2でミスが出てしまい8番手からのスタートとなった平川は、序盤から着々と順位を上げて18周目には4番手に浮上。22周目にピットインをすませると、その後はファステストラップを出して野尻逆転を目指した。
これに対し、TEAM MUGENもすぐに動きを見せ、25周目がピットイン。なのとか平川の前に出ることができたが、そのさは1.4秒と前日同様に緊迫した展開となった。
2人の一進一退のバトルはレース終盤まで続いたが、最後まで逃げ切ることができたのは野尻。見事トップチェッカーを受け、今季初優勝を飾るとともに、前日のリベンジを果たした。
野尻智紀(TEAM MUGEN)
「(平川選手は)『やっぱり来たな』と思いました。平川選手のオーバーテイクシステムがどれだけ残っているのか、いつタイヤを換えたのか、そのあたりを無線で情報をもらいながら、自分としてはなるべく1秒近くまでは接近させないようにプッシュしたり、少し余力を持ってみたり、そういうことを繰り返しながらタイヤも労りつつ、ペースを安定させることに主眼を置いてドライビングを続けました」(野尻)
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