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No.1 STANLEY NSX-GTは、よもやの形で年間王者を逃してしまった。
それでも、山本はグランドフィナーレが終わると、メディアの取材を断ることなく、しっかりと我々の質問に答えてくれた。
彼は、いつもは言葉を選んで丁寧にコメントをするのだが、この時は、どこか思いつくままに話している印象を受けた。避けようがなかったアクシデントとは言いながらも、やはり本音としては割り切ることができない……その気持ちが、こちらにも伝わってきた。
「最後の1周まで何が起こるか分からないということを、昨年感じたひとりでした。なので、今年も最後まで何が起こるか分からないと思って、ずっと気は張っていたんですけど……こういう“まさか”があるとは、思わなかったです」
「今回、逃した魚の大きさを考えると、そんなにすぐに気持ちを切り替えられるほどのものではありません。ライバルに負けないために、1年間必死に色んなことを頑張ってきました。ポイントランキングトップで最終戦に来て、(チャンピオンが)獲れるところを走っていたのに、こういう終わり方になってしまったから、余計に残念な気持ちにはなっています。ポジティブにはなりづらいんですけど……きっと、どこかで『来年、牧野と一緒に(タイトルを)獲れ』と言われているような気がして、今はそう思って、自分を沈めています」
「レースって難しいですね……。参戦100戦目で、また大きなものを学びました」(山本)
そして、大逆転でチャンピオンに輝いた36号車。まさかの結末に、レース直後はチャンピオンを獲得したという実感が湧いていない様子だったが、2人のドライバーは今シーズン一番の笑顔を見せていた。
振り返ると、今季の36号車は悔しいレースばかりが続いていた。開幕戦の岡山では同じGRスープラ同士のバトルに敗れ、悔しい2位フィニッシュ。第2戦富士では、終盤トップに立つも、マシントラブルが発生し優勝争いからの脱落を余儀なくされた。
開幕戦での14号車と36号車の激しいスープラ同士のバトルはファンを熱くさせた。
シーズンを通して安定した走りは見せていたものの、一番欲しかった優勝という2文字を手にできていなかった。だからこそ、“最終戦で何としても勝ちたい”という強い思いで臨んでいたのだ。
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